希望の光は背番号3だ。阪神大山悠輔内野手(24)がまたまたアーチをかけた。前日プロ野球史上初の「6打数6安打&3本塁打」をやってのけた一夜明け。初回の第1打席で浜口のスライダーをとらえ、左翼席中段までかっ飛ばした。「自然と反応でバットを出すことができました」。まるで前日のVTRを見ているような弾道で2戦連発、自己最多を更新する先制の10号ソロ。前日からの連続打数安打を7に伸ばした。手に残った感触、打球の残像を確かめながらにっこりダイヤモンドを1周した。

不振で今年6月に2軍落ちも味わった16年ドラフト1位、和製大砲候補が覚醒中だ。特に9月は12球団最多の8本塁打を放って19打点、打率4割5分5厘と驚異の数字が並ぶ。この日は6回に二塁打を放って2戦連続のマルチ安打。ここ2戦は4発を含む11打数8安打で、猛威はとどまることを知らない。

集中力を研ぎ澄ませ、打席では邪念を捨ててバットを構える。考え込むことなく「来たボールに対して、しっかり振ること」だけを意識。シンプルな発想が好成績に導いている。

「右ふとももの張り」で出場を制限している福留の穴も埋めている。12日の中日戦(甲子園)から、主将の「代役3番」を任されると6試合で打率4割4分4厘の固め打ち。絶好調で遊撃に定着しかけていた北條もケガで欠く中、背番号3が必死にカバーしている。

ただ、3番に座るからには課題も残る。8打数連続安打がかかった3回1死一塁は遊ゴロ併殺打。そして同点の9回2死一、二塁の勝ち越し機は、初球を打ち上げて遊飛に倒れた。金本監督は「最後やな。ああいう場面で打てるように成長してほしい。勝負どころ、ここ一番のチャンスで、そういう根性をね。さらなるステップとして、こちらは成長してほしいと思う」と期待を込めた。大山も「全ては最後の打席だと思う。そこで打てないと意味がない」と悔しさを隠さなかった。最下位に沈んだチームを浮上させるべく、反省を力に変えて大砲ロードを突き進む。【真柴健】