広島が球団初のリーグ3連覇を本拠地マツダスタジアムで決めた。過去、セ・リーグでは巨人しか達成していなかった3連覇以上の歴史を塗り替えた。

16年のリーグ優勝は東京ドームで、17年は甲子園で歓喜の瞬間を迎えたが、念願の地元Vは実に27年ぶり。緒方監督は9度の胴上げ、「新井コール」とともに今季限りで引退を表明している新井も6度宙を舞った。ファンとともに最高の瞬間を味わった。

勝利監督インタビューでは緒方監督が「昨年ここで優勝のチャンスを逃したので今年はマツダで決めるんだと、そういう気持ちで臨んだ。ファンの方とこうして喜ぶ瞬間を迎えられて本当にうれしく思っています。ファンの皆さま、リーグ優勝3連覇おめでとうございます」と声を張り上げた。

2連敗で生みの苦しみを味わったが、この日はうっ憤を晴らす17安打10得点の猛攻だった。投げては九里と中崎の完封リレーで締めた。

喜びも悲しみも、「広島」と歩んだシーズンだった。7月の西日本豪雨。広島県内は甚大な被害を受けた。直後、カープは7月9日から予定されていた本拠地マツダスタジアムでの阪神3連戦の中止を決定。鈴木球団本部長は「被災された方の心情や、救助が進む中で、試合ができる状態にはないと考えた」と苦しい胸の内を明かし、選手会長の会沢は「僕らは勇気や元気を与えられるように。それがプロ野球選手の使命」と語っていた。悲しい災害に心を痛めながら、広島ナインは3連覇へと突き進んだ。

その戦いも決して平らな道のりではなかった。トップバッターとして斬り込んできた田中は打撃不振に苦しみ、8月中旬からV直前まで下位打線に回っていた。菊池も7月下旬にスタメンを外れ、8月4日には8番に打順を下げたこともあった。丸は右足を痛め4月下旬から5月下旬まで離脱。昨年8月に右足首を負傷した鈴木は、今季開幕直後に下半身の張りで出場選手登録の抹消を経験している。

だが、誰もが輝きを取り戻し、強打と好守で難敵を倒してきた。丸と鈴木はともに30発オーバー。広島では05年の新井、前田以来となる30発コンビを結成した。投手陣では大瀬良が勝ち星を重ね続け、先発の柱に成長。守護神には中崎がいる。バティスタ、フランスアをはじめ、助っ人勢も強力だった。

4月23日には、球団OBの衣笠祥雄さんが71歳で亡くなったが、天国でレジェンドも喜んでいるに違いない。

つらい思いを背負いながら歩み続けた広島。その戦いぶりは、どれほど多くの人の心の光となっただろうか。地元V。それは野球の神様からの贈り物だったのかもしれない。