阪神藤浪晋太郎投手(24)が、チームの窮地で二刀流の輝きを放った。投げては2年ぶりとなる完封勝利の力投だ。「調子、ボール自体は悪くなかった。守備に助けられたり、なんとか周りに投げさせてもらいました」。大崩れすることなく、9回5安打無失点。134球で7三振を奪い、四球は2つ。「意図通り、意図したボールがいっていたのではないかと思います」。抜群の安定感で今季5勝目。16年6月2日楽天戦以来のシャットアウトで、自身の通算50勝目を飾った。

バットでも強烈なインパクトを残した。5回の中越え適時二塁打に、金本監督は「めちゃくちゃ、すごい当たりやったな。二刀流できるんじゃないかという感じ」。16日DeNA戦でプロ入り初の満塁弾をかっ飛ばすと、22日広島戦でも二塁打。非凡な打撃センスはますます光る。この日は9回に引退することが判明した中日岩瀬からも右前打を放ち、プロ入り初のマルチ安打を記録した。

自身3連勝。金本監督は「(カウント)3-1から変化球を投げたり、3-2から投げたり。最近の藤浪では、ちょっと見られなかった。自信を持ってフォークもうまく使っていました」と、失点した前回2度の登板との違いを強調。9回に打席が回ってきたが、続投。指揮官は「本人に確認したんですけど『お任せします』と言うから。完封で自信をつけてほしい願いがあったから。『お任せするというより、行こうや』と。行かせました。残り試合も期待できる」と完全復活といわんばかりだ。

チームは負ければ、自力CS進出が消滅する可能性もあったが、藤浪の活躍で踏ん張った。残り11試合。もちろん、厳しい状況に変わりはないが、背番号19の投球とバットが、虎にはある。【真柴健】

▼藤浪が高卒6年目にしてプロ通算50勝に到達。阪神の高卒ドラフト入団投手では、江夏豊の3年目(<1>12勝<2>25勝<3>15勝)に次ぐペースで、右腕に限れば最速となった。

▼藤浪の完封勝利は通算6度目で、16年6月2日楽天戦以来、2シーズンぶり。ナゴヤドームで阪神の投手が完封勝ちを収めたのは、16年9月24日メッセンジャー以来4人目。日本人投手では、同球場開場初年度の97年8月24日の川尻哲郎以来、21年ぶり2人目。

▼藤浪は打ってはプロ初のマルチ安打。3試合連続安打は、16年4月5日巨人戦~同26日巨人戦4試合連続以来、プロ4度目。なお最長は5試合連続で、14年4月1日中日戦~同30日広島戦で記録。