ソフトバンクがロッテに敗れ、西武の優勝が決まった。リーグ連覇を逃した試合後、工藤公康監督(55)はナインを集め、ミーティングを行い、球団史上初の2位以下からの下克上日本一を誓った。3位日本ハムとは5ゲーム差。まずは残り8試合で2位を死守し、本拠地ヤフオクドームでのCSファーストステージから日本シリーズまで勝ち抜く。

ソフトバンクが先に敗れ、まだ試合中だった西武の優勝が決まった。ロッテ先発二木に4安打1失点で完投を許し、投手陣も終盤失点を重ねる完敗。3万3047人のファンが埋めていたスタンドも、最後には空席が目立った。

試合後、工藤監督は選手を集め、ミーティングを行った。工藤監督は「ケガ人が多い中、ここまでよく頑張った。敗戦の責任は私にあるから。ただ、悔しいという思いだけはこれからもしっかり持って戦ってほしい。この悔しさを晴らすのはCSでしかない」と語りかけた。

本気で奇跡を起こすつもりだった。前日9月29日に西武の目の前での胴上げを阻止した時も「奇跡を信じて頑張ります」と話した。道路が事故で渋滞する中、バスが何とか残り15分で羽田空港発福岡行き最終便に間に合った時には、運が向いているとプラスにとらえた。ソフトバンクが残り9戦全勝で西武が残り6戦全敗なら、逆転優勝。わずかな可能性を信じて戦った工藤監督は、試合後、報道陣の前に姿を見せると、ハァーッと深いため息をついた。「1年間見守ってくれたファンには、優勝できなかったことは心からおわびしたい」と連覇を逃した現実を受け止めた。

今季は8年ぶりに11勝13敗と西武に負け越し。今季の西武について「打撃がうちの投手陣でも抑えることができなかった。打つ、本塁打というのが投手陣に大きなプレッシャーとなったのかな」と話した。だが、「チャンスはなくなったわけではない。西武を倒して日本一になるんだと、みんなでひとつになって臨んでいきたい」と球団史上初の2位以下からの逆転日本一へ目標を切り替えた。04年にパ・リーグに導入されたプレーオフから何度も苦杯をなめてきた。4番の柳田も「チーム一丸で頑張るしかない」と気持ちは同じ。残り8試合、CSへ向け状態を上げていく。工藤ソフトバンクに消化試合はない。【石橋隆雄】