ヤクルトが由規投手(28)と来季の契約を結ばないことが1日、分かった。

近日中にも自由契約選手として発表される予定。由規は右肩手術を乗り越えて復活の道を歩きだしていたが、現在は右肩痛のためノースロー調整中。球団は早期回復は困難と判断し、功労者の由規に球団内にポストを用意する意向だったが、本人の現役続行への意思が固く、苦渋の決断を下した。最速161キロの剛腕が、新天地でのプレーを模索していくことになる。

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由規がヤクルトを去る。現在ノースロー調整中の右腕が、来季の戦力構想から外れていることが判明した。球団は、ファンや仲間からの信頼も厚く、人気と実力で貢献してきた功労者に対し、引退を決断した場合はセレモニーや球団内のポストも準備する意向だった。だが由規の現役続行の意思は固く、退団して他球団でプレーする道を模索することになった。

由規は仙台育英3年夏の甲子園で157キロをマーク。大阪桐蔭・中田(日本ハム)成田・唐川(ロッテ)とともに「高校ビッグ3」として注目されると、07年高校生ドラフトでは5球団競合の末に1巡目でヤクルトに入団。10年には12勝を挙げるなど、チームを代表する右腕へと成長していた。

11年に右肩痛を発症させると、長いリハビリの日々が始まった。13年の手術や育成契約という苦難を乗り越え、16年7月24日の中日戦で1786日ぶりに勝利。昨季は10試合3勝5敗と着実に完全復活への道を歩みはじめ、今季は開幕ローテーション入りを果たした。

だが6月2日の楽天戦で右肩に違和感を訴え、大事を取って翌3日に登録を抹消。復帰を目指して2軍で調整していたが状態が上がらず、今季は7試合1勝2敗、防御率4・46で終えた。それでもリハビリ中には「早く投げられるようにして投げたい」と復活への意欲を燃やしていた。

現在、チームは96敗を喫した昨季から巻き返し、単独2位につける。来季の4年ぶりのリーグ制覇へ向け、先発投手陣の整備は優先課題の1つになる。由規は11年の右肩痛発症後も復活に向けて全面バックアップをしてくれた球団への愛着と恩義は強い。チーム事情も理解している。愛着あるヤクルトのユニホームとファンに別れを告げてでも、もう1度、1軍マウンドで思い切り右腕を振るため、新たな第1歩を踏み出す。

◆由規(よしのり)本名佐藤由規。1989年(平元)12月5日、仙台市生まれ。仙台育英では2年夏から3季連続甲子園出場。2年夏の宮城大会決勝は東北との引き分け再試合を制し、2試合完投。3年夏に甲子園で最速156キロ。日米親善試合では157キロを記録。10年8月に当時日本人最速の161キロを出した。179センチ、80キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1800万円。