阪神は13日、次期監督候補として一本化している矢野燿大2軍監督(49)に宮崎市内のホテルで監督就任を要請した。揚塩健治球団社長(58)がこの日、大阪から宮崎入り。フェニックス・リーグ巨人戦で指揮を執った後の同監督と、約1時間半の会談に臨んだ。11日に金本知憲監督(50)が電撃辞任を表明。球団は、わずか2日後にアタックし事情説明なども行ったとみられるが、交渉は難航している模様で、決裂する可能性が出てきた。

次期監督問題でスピード決着を図りたい阪神だが、事態は混迷が続きそうだ。11日に金本監督が電撃辞任を表明。球団は急ピッチで後任監督候補を選定し、矢野2軍監督に一本化していた。この日は午後、交渉役の揚塩球団社長が空路で宮崎入り。宮崎市内のチーム宿舎に入って、初交渉に備えた。

フェニックス・リーグの巨人戦で指揮を執った矢野2軍監督は、宿舎に戻ると午後5時以降に揚塩社長と向き合った。虎の命運を託す初交渉は、約1時間半。金本監督が急転直下でユニホームを脱いだ経緯なども説明があっただろう。だが、暗雲が漂ってきた。宮脇ファームディレクターが「社長、監督ともに『今日は何も伝えることはできない』とのことです」と代弁。矢野2軍監督は態度を保留したとみられる。今後の交渉次第だが、決裂する可能性も出てきた。

指揮官の辞任が決まってから、わずか2日後のスピード交渉だったが、思惑通りに事は運ばない。次期オーナー就任が決まった阪神電鉄の藤原崇起会長(66=球団オーナー代行)は、交渉終了後の午後9時ごろに兵庫県内で応対。「向こうに私の方も任せると言った以上、これは待っていると」と険しい表情を浮かべ、2度目の交渉機会の可能性を問われると「いや、それも何も。どういう話かというのも、何も聞いていませんので…」と話すにとどめた。合意とは程遠く、難航している模様だ。

金本監督が今季最下位の責任を取って退任。矢野2軍監督も「大学も現役時代も一緒にやってきた。俺も悔しい」と話したように、複雑な心境であることは間違いない。25日のドラフト会議が迫るなか、チーム方針に大きな影響を及ぼす監督ポストが空位のまま。来季の補強戦略を描けず作業は停滞する。

交渉が長期化し、先行き不透明のままなら、前2軍監督の掛布雅之オーナー付シニアエグゼクティブアドバイザー(SEA、63)が有力候補として浮上する。昨季まで2軍監督を務め、金本体制が築いてきた方針を大きく変えずにチーム作りできる利点がある。また、05年優勝監督の岡田彰布氏(60)も候補だ。いずれにせよ、後任監督の選定が長引けば、悪影響は計り知れない。