阪神梅野隆太郎捕手(27)がソフトバンク甲斐拓也捕手(26)に刺激を受けている。大学時代から知る後輩の日本シリーズMVPを目に焼き付け、自身も盗塁阻止率アップに取り組んでいる。抜群の肩を生かすために、キャッチングと体重移動を修正。「梅バズーカ」に「キャノン」が加わる。

梅野は素直に甲斐の活躍をたたえた。史上初の0打点での日本シリーズMVP。福岡大時代から交流のある後輩が、広島の6企図の盗塁をすべて刺した。「あれだけ阻止すれば点は入らない。同じポジションとして刺激になるし、後輩ながらすごいと思う。そういうチームが勝負をものにするんだと、感じました」と何度もうなずいた。

梅野は今季盗塁阻止率3割2分。巨人小林に2分1厘の差でリーグ2位だったが、強肩で何度もピンチの芽を摘んできた。そんな梅野から見ても甲斐の技術は際立っているようだ。迷うことなく「ベースの(上下の)ライン上に入れるのがうまい。(送球に)左右のブレがない。あとはキャッチング。しっかり捕っているからこそ、スローにいける。そこが一番のすごみ」と口にした。

もちろん、負けるつもりはない。梅野自身も改良に取り組んでいる。盗塁阻止率アップは「自分も助かるし、雲泥の差。勝敗にもつながる。強みとして持っておかないといけない」と話すように、明確な目標の1つだ。今キャンプで取り組んでいる改善点はくしくも甲斐をたたえた点と重なる。

「まずはキャッチングです。(前に)捕りにいかないように。あとは握り替えるところのタイミングと、右足の使い方。上体が上がりやすいので、なるべく低いところから、低いところから。キャッチボールのときからボールに入っていくという意識をしています」

4日は全体メニュー終了後も、マシンを相手に捕球から持ち替える動作を続けた。梅野は気を引き締め「(勝敗を)動かすのは捕手の一声、ひとつの間だったりする。それで143試合で10試合でも勝てれば、それはやっぱり大きい」と結んだ。何より勝てる捕手へ、バズーカにキャノンの要素を追加し、選手会長が肩を回す。【池本泰尚】