4年ぶりの「2018 日米野球」が開幕し、侍ジャパンは柳田悠岐外野手(30)が日米野球の日本チームでは初のサヨナラアーチをかけ、劇的な逆転勝ちを収めた。日本シリーズで見せたバットを折りながらのサヨナラ弾に続く衝撃の1発。3本塁打とパワーで圧倒されていたMLB選抜に、日本が誇る大砲が一泡吹かせた。

柳田は、ずれたヘルメットを軽く押さえ、ゆっくり歩き出した。今年終盤から着け出したフェースガードがなければ豪快に吹っ飛んでいたはず。膝に手をついてうなだれるイェイツを横目に、一塁側ベンチに向けて人さし指を突き立てた。

「最高です! ミラクル! 来た球、当たる球をしっかり当てて、その中で自分のスイングをと思っていた。シンプルイズ、ベスト!」。お立ち台で興奮を隠さなかった。

真剣勝負。しかし、柳田にとってはワクワク感にあふれた3時間29分だった。5回、サンタナの弾丸ライナー本塁打を見て、中堅の柳田は笑っていた。

「(MLBは)やっぱすごかった。とにかく、すごかった。音がすごかったんで、びっくりしました。かっこいいですよね。本塁打は全部、スゲーなと思って見ていた。いちファンとして、守っていました」

だが柳田のスイングも、打球も、十分に見る者を魅了した。フルスイングに観客は息をのみ、ファウルに歓声を上げた。強肩モリーナから二盗を決め、5回2死二塁では申告敬遠を宣告され場内をどよめかせた。日本シリーズ第5戦ではバットを折りながら、王手をかけるサヨナラ弾。怪物ぶりを示した日本シリーズ終了からまだ6日。ジャパンが誇るスラッガーは最後に、大声援に応えた。

「ファンが応援してくれるおかげです。本当は休みなんですが、これだけ応援されて(この時期でも)野球をやってよかったなと思います。めちゃくちゃ疲れています。でもグラウンドに立ったら忘れる」

シーズン終盤から登場曲をDA PUMPの「U.S.A.」にしたほど待ちわびていた。前回14年大会では5試合で6安打4打点でMVPを獲得。翌15年にトリプルスリーで本格的にブレークした。アゲてくれるイベントなのは間違いない。

山川に代わって第2戦から4番に座る可能性も十分。「いい思い出ができました。まだまだ打てるようにしたいですね」。日本最高のエンターテイナーに早くもエンジンがかかった。【柏原誠】

▼日米野球で日本チームのサヨナラ勝ちは04年11月12日に全日本が全米戦で記録して以来14年ぶり。サヨナラ本塁打は、93年の日米親善試合でダイエー・巨人連合の湯上谷(ダイエー)がドジャース戦でランニングサヨナラ本塁打を放って以来2本目。単独チームではなく、全米(MLB選抜)相手には初めてだ。過去のサヨナラ打はすべて同点から記録し、リードを許した場面で打った「逆転サヨナラ打」は初めて。