来季は「走れる4番」だ! 藤原崇起オーナー代行(66=電鉄本社会長)が視察する中、阪神大山悠輔内野手(23)が13日、高知・安芸で行われている秋季キャンプの紅白戦に「4番三塁」で出場。2安打1打点に加え、2盗塁を決めた。プロ2年間で通算7盗塁と決して多くはないが、来季はバットとともに「足」にも注目だ。

84キロの大きな体が一、二塁間を猛スピードで駆け抜けた。決して快足自慢ではない、来季4番候補の大山だ。初回、中前適時打を放った直後の原口の打席。フルカウントから強肩梅野の送球をかいくぐった。4回には相手失策で出塁。直後に完璧なスタートで、またも二塁を陥れた。

「打つ、守るだけじゃないので、全部頑張ります」

ノーサインの中で集中力を研ぎ澄ませた。大山の積極的姿勢に矢野監督は「自分で何かを感じ取ってしかいけない状況を作っているので、あそこでスタートを切ったというのは、すごく価値があったと思うね」と評価した。

打撃も好調を維持している。初回の中前打は、1死二、三塁の好機で巡ってきた。浜地が投じた真ん中高めに入った変化球をとらえ、先制点をたたき出した。3回1死二塁からの第2打席では同じく変化球を逆らわず逆方向へはじき返し、マルチ安打を記録。浜中打撃コーチは「これまで点でとらえていたのが、線でとらえることができてきている。球とバットの接着時間が長いこともあって、センターから逆方向へ向けていい角度で打球が飛んでる」と説明した。

指揮官も大山の打撃内容に目を細めた。「たぶん狙って打ったということではなく、反応で打ったと思うし。豪快な部分と、ああいう部分というのが重なってくると、当たり前やけど率も上がる。打点も増えるし」。大山は「感覚的なところですけど、実戦の中で少しずついい感覚のスイングが出来てきている。その感覚を続けていけるようにしていきたい」と表情を引き締めた。

もちろんこの日のチャレンジは、向上心を持っているのが打撃だけではないことの証しだ。プロ2年間で通算7つの盗塁が増えれば、相手守備陣にかかるプレッシャーは計り知れない。来季の大山には「走れる4番」として期待がかかる。【古財稜明】

▼阪神でシーズン全試合の過半数に4番打者として先発し、20盗塁以上を記録した選手は2リーグ分立後2人。藤村富美男が50年に4番139試合、21盗塁。田宮謙次郎は2度記録し、56年に4番83試合で25盗塁、57年には4番108試合で37盗塁。