ヤクルト山田哲が15、16年に続いて史上初となる3度目のトリプルスリーを達成した。大リーグでも3度のトリプルスリーはパイレーツ時代の90、92年とジャイアンツ時代の96年に記録したボンズだけ。山田哲は4年間で3度マークし、3度目の「30本塁打・30盗塁」も87、89、90年秋山(西武)に並ぶタイ記録だ。昨年は右投手に対して打率2割2分4厘の12本塁打でトリプルスリーを逃したが、今季は打率3割1厘の23本塁打。昨年とほぼ同じ打数で本塁打は11本増やし、打率も7分7厘上げた。左投手からは4年連続打率3割の2桁本塁打で、昨年苦しんだ右投手を攻略して3度目の達成となった。

最近は30盗塁が難しい。今季のセ・リーグは打率3割が15人、30本塁打も7人いるのに、30盗塁は山田哲と田中(広島=32盗塁)だけ。11~17年のセ・リーグは30盗塁0が2度、1人が5度で、トリプルスリーを達成した時の山田哲は盗塁王も獲得している。山田哲は盗塁失敗が少なく、30盗塁以上した時の成功率は15年8割9分5厘→16年9割3分8厘→18年8割9分2厘。30盗塁以上で成功率が8割9分以上は13人(17度)しかおらず、1人で3度は山田哲だけ。プロ通算の成功率は8割6分5厘となり、イチロー(オリックス=8割5分8厘)や鈴木尚(巨人=8割2分9厘)広瀬(南海=8割2分9厘)ら足のスペシャリストを上回っている。足が速いだけでなく、高成功率を誇る優れた盗塁技術が、トリプルスリー達成を助けている。

今季は得点が多く、シーズン130得点は3位タイ。7月16~27日には10試合連続得点をマークした。7月20日~8月4日には、86年バース(阪神)の13試合に次いで2位の12試合連続打点を達成。同一シーズンに打点と得点の両方を10試合以上続けたのは86年バース、03年福留(中日)に次いで2リーグ制後3人目と、トリプルスリー以外にも珍しい記録をつくった。【伊藤友一】