病床のミスターがしたためた「恋文」が、丸佳浩外野手(29)の巨人入りの背中を押した。広島残留か移籍かの決断に揺れていた昨年11月。長嶋茂雄終身名誉監督(82)から「一緒に野球ができたらうれしい」と直筆の手紙が届いた。地元・千葉の大先輩で、憧れの野球人からの熱いメッセージに「感激しましたし、うれしかったです」。幼い頃からの夢だった巨人でプレーすることに気持ちが傾いた。

丸少年にとって、野球観戦といえば東京ドームだった。「僕が小学生の時に(巨人の)監督をされていた。テレビの中の方」とベンチで指揮を執るスーパースターは雲の上の存在であり、野球人の象徴だった。丸のFA交渉時は入院中だった同終身名誉監督の熱い思いには結果で応えるしかない。ミスターからも求愛されたセ界屈指のバットマンが、巨人の一員として常勝軍団復活をけん引する。