ソフトバンク王貞治球団会長(78)は9日、宮崎春季キャンプで今季初めてB組を視察した。育成2年目の砂川リチャード内野手(19)に約12分間、熱血指導を行った。

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逆風の中、左翼後方のネットに打球を突き刺す砂川の打撃を見ると、王球団会長が目を輝かせて近寄った。父が米国人、母が日本人のハーフ。188センチ、113キロの巨体に「バットの芯とボールの芯を結べ」と助言し、78歳が約12分間、身振り手振りで熱血指導した。

「リチャードはパワーがある。(高卒)2年目でまだ時間がある。あれだけ飛ばすのは天性。芯で打つ確率を高くする。強く打たなくても、ヤツの力だったら勝手に(スタンドへ)持って行く」

昨年、筑後市の2軍施設を視察した際に声をかけられたという砂川も、「これだけ長く指導していただくのは初めて。王会長に言われた通りにやったら、飛距離は変わらずミート力が上がりました」とにっこり。全体練習後も「会長に言われたことを」とマシン相手に1時間半打ち込んで反復。さらに藤本3軍監督を相手に打ち込んだ。

藤本3軍監督も「飛ばす力だけは1軍でも上位クラス。飛距離はデスパイネ級。確率を上げないと」とほれ込む。昨年は3軍で36試合、打率1割5分9厘。1本塁打。兄ジョセフが昨年マリナーズ入りするなどパワフルな家系だが、砂川の課題は「確実性」だった。王球団会長の助言は、文字通りの金言になった。

1月には同郷沖縄の西武山川に弟子入りし自主トレを行った。そのパワーに昨季パ本塁打王も「何でお前が育成なの?」と驚いた。砂川は「今年ダメならクビの覚悟で」と丸刈りにしてキャンプに臨んでいる。

王球団会長は早実の後輩、ドラフト3位野村大樹内野手(18)の打撃練習も視察。若手の大砲の台頭を願ってやまない。B組視察後は打撃力向上を目指す甲斐も指導。「(甲斐は)打ってもらわないと困るからね」と笑った。アグレッシブな王球団会長に、ナインも負けてはいられない。【石橋隆雄】

◆砂川(すながわ)リチャード 1999年(平11)6月18日生まれ、沖縄県出身。沖縄尚学から17年育成ドラフト3位で入団。高校通算本塁打は25本。兄ジョセフは18年にMLBのシアトル・マリナーズからドラフト6巡目で指名された。身長188センチ、体重113キロ。右投げ右打ち。