5季ぶりのリーグ優勝を目指す明大(東京6大学リーグ)が11日、静岡・沼津市内で春季キャンプをスタートした。

今秋のドラフト1位候補に挙げられる最速151キロ右腕・森下暢仁投手(3年=大分商)は遊撃でノックを受けた後、ブルペンで58球を投げた。さらにブルペン後も「来い、ノッカー!」と叫びながら、ノックで左右に振られた。善波達也監督(56)も「マサト(暢仁)は主将になって本当に変わったね」と積極的な取り組みを喜んだ。

そこにもう1人のドラフト候補右腕・伊勢大夢投手(3年=九州学院)が姿を見せた。同監督は「大きいこと言って、責任感持てよ」と笑い、報道陣との輪を離れた。

伊勢は切り出す。「日によってムラはあるんですけど、監督には今までよりいい感じだなと言われています」。事実、この日のブルペンで投じた75球にも勢いがあった。スリークオーターとサイドスローの中間から投じる直球は、最速150キロに及ぶ。

力はありながら、昨秋の登板はわずか1試合。「85%の男なんです」(善波監督)と、練習も投球も結果も何かが足りないもどかしさを周囲に与えていたという。変化球にも課題がある。「もう少しアピールしてくれればな」と監督も常日頃口にしていた。

最後の1年、もう猶予はない。主将番号「10」を背負う森下に続く投手の出現が待たれる。善波監督はこの日、背番号11を伊勢に渡すことを明言した。明大の11番は、歴代の名投手が背負ってきた明大のエース番号だ。「11番つけさせろ、くらいの気持ちでいきます」という伊勢の願いが、さっそく現実になった。

「練習でどれだけアピールしても、やはり試合で結果がついてこないと」と期待への答えは、マウンドで出すつもり。森下の好投は絶対条件。さらに“お伊勢さま”が鎮座すれば、明大に、さらに流れが向いてくる。【金子真仁】