これが、甲子園優勝投手の貫禄か。紅組の先発マウンドに上がった日本ハムのドラフト5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)は、1回を3者凡退と、ほぼ完璧な実戦デビュー。

「いいボールは少なかった」と不満げも、13球中、ボール球は3球だけ。ストライク先行で、ルーキーらしからぬ落ち着きを披露した。

「緊張した」と言いながらも、そんなそぶりは少しもなかった。満員で膨れあがったスタンドも、注目を浴びる対決も、慣れっこだ。1番浅間を中飛に打ち取ると、2番松本、3番王柏融を、2者連続直球で内野ゴロに仕留めた。台湾代表の王に対しては、この日最速の144キロを記録。「台湾の大王」を「真っすぐが力強い。自分のテンポで投げていて将来が楽しみ」と、うならせた。

前夜には、高校時代の動画を「ほぼ全部」と言うほど徹底的に見直し、間合いなどを確認したという。栗山監督は「みんなが期待している中で優勝する投手。さすが」と、常勝軍団の大阪桐蔭でエースとして活躍した右腕の“勝負度胸”に、感服した。

先に投げた白組のライバル吉田輝は1失点。それでも「あんまり、吉田に勝ったっていう気はしない。どうなんでしょうねぇ…」と、首をかしげた。沖縄でのキャンプ中は同部屋で、球場入りや帰りも常に一緒だ。「2人で動画を見て、今日のことを反省したいと思います」と、夜には反省会を開いて課題を確認するつもり。「2人でファイターズを引っ張っていきたい」と、将来的な夢を思い描いた。【中島宙恵】