日刊スポーツ評論家の浜名千広氏(49)がソフトバンク選手に迫る「直ゲキ」。逆襲を図るベテラン勢、第2弾は、プロ19年目の内川聖一内野手(36)です。

2年連続で3割を打てなかった屈辱から、横浜時代、自己最高の打率3割7分8厘で首位打者に輝いたときのバットに戻して奮闘中。平成最後の今年キャンプ中に第3子が誕生し「記憶が残るまでやりたい」と、新元号最初の首位打者どりを公言し、自らムチを入れていました。【取材・構成=浦田由紀夫】

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浜名氏 今年は気持ちの部分が違うと思いますが?

内川 今年37歳。野球選手としては、もう1回成績出して、もう少し頑張れるのか、成績が出なくなって、そろそろかなって考え出すような年齢だと思います。もう1回、成績出して長くやりたいという気持ちになれるようにしたい。ここ2年はケガもあって試合も半分しか出ていない。昨年2000本打ったからといっても、自分の気持ちは何も変わってないですし、もっと危機感というか、絶対にやらないといけないという気持ちは、今までよりも強くなっている。

浜名 打撃フォームは変わってる?

内川 昨年はどうしても4番で本塁打も数多く打ちたいという気持ちの焦りがフォームに出てしまって、後ろでしっかりタイミングが取れないまま、前につっかかって、その勢いで打ってしまってました。しっかり右足に体重を乗せた状態でボールを長く待てるようにしたいです。今キャンプは、まずは自分の形をしっかり作ろうというところからやってます。

浜名 バットを変えたということですが?

内川 08年のバットに戻したんですが「1年間、バットを変えない」という前提で考えたときに、一番クセがなくて、一番扱いやすいんです。当時より少し重くしてますが…。昨年までは、その場にあった、他の人のバットでも、打てると思ったとき使わないと損だと思ってました。打席前に「今日、どれだろうな」と、そこから入らなければいけなかった。そうなると「自分がいいのかバットがいいのか」「自分が悪いのか、バットがダメなのか」とか、訳が分からなくなってました。それをなくすために「バットを変えない」ことにしました。

浜名 主将制度がなくなりましたけど。

内川 なくなったのは残念でした。自分が結果を残せていれば、主将を廃止する必要がなかったと。工藤監督からは「オレがやってるうちは主将だから」と言ってくれてました。正直、残念でしたが「主将がなくなったからやらなくていいか」って、それはまた違う部分もある。良い意味で任せるところも出てくるだろうけど、自分が出ないといけないときに、自分の意見が言えるような立ち位置でいたいなと思います。

浜名 若手については?

内川 完全に負けたと思えば、いつでもいいかなと思いますけど、まだ負ける選手がいないんです。中村晃が一塁手に入るなら考えますが、今は一塁手だけで負ける選手がまだいないなと。自分がやらないといけないのかなと正直思います。マッチは「高い壁」という表現でしたが、自分は「そこに誰も入れさせないぞ」という気持ちです。

浜名 3人目の子どもも生まれた。立ち会ったらしいけど?

内川 人の命が生まれる瞬間はこんな感じなのかなと。今は長女が7歳、長男が2歳。長男が記憶に残るまで頑張ろうと思ってやってきましたが、もう1人生まれると、その子が覚えてるまで頑張ろうかなって。いい意味で刺激をもらいました。長く野球をやりたいって思う理由がまた1つ増えました。

浜名 首位打者を狙っていると聞きました。

内川 「ポスト内川、松田」がいないから2人が出ているんじゃなくて「まだまだ本人たちいけますよ」っていうところを見せたい。だからもう1回、タイトルにからみたいと思う。もう1回、(首位打者という)数字に近づきたい。

浜名 今年は新しい元号に変わるシーズン。

内川 (3人目の)子どもが平成最後の年に生まれたので、リスタートするにはこんなにふさわしいところはないと思ってます。いろんなものがいいタイミングでいろいろ含まれてます。そこでもう1回跳ね上がりたいと思います。

浜名 期待できますね。ありがとうございます。