矢野阪神がイケイケドンドンの「超積極盗塁野球」を披露した。矢野燿大監督(50)が今季初めて実戦でサインを解禁。1点を追う5回2死。一塁走者梅野が近本の初球で仕掛ける。甲斐の鋭い送球をかいくぐり、滑って二塁を陥れた。

指揮官が出したサインは鮮やかに決まった。得点できなかったが、矢野野球の輪郭が浮き彫りになった。「リュウ(梅野)も遅いわけじゃない。いい癖をリュウ自身もつけていけばチームにとっても大きい。カーブやったというのはあるにしても。甲斐から走れたというのはそれなりの自信につながる」と目を細めた。

3回には快足の近本が初球で二盗を決めていた。球界屈指の「甲斐キャノン」に対し、チームとして2度盗塁を企図して2度とも成功。指揮官は「チャンスがあればどんどんいけたら」と大号令をかけた。

2軍監督だった昨季、ウエスタン・リーグ新記録の163盗塁で2軍日本一の推進力になった。矢野監督は「アウトになったら、どうこうは全然ない。俺がとがめることもしない」と話す。果敢に走った昨季がモデルケースだ。オープン戦は3連敗発進だが、動く采配が光った。【酒井俊作】