「浜名論 打線チェック」2回目は「二塁手争い」にフォーカスする。ほとんどのポジションが決まっているなか、二塁手だけが流動的。毎年のテーマではあるが、日刊スポーツ評論家、浜名千広氏(49)は「現状は高田が1歩リード」と分析する。

オープン戦では牧原大成内野手がスタメン起用されているが、キャンプから通して高田知季内野手の成長を大きく評価。川島慶三内野手も入れた争いはホークス打線の底上げのカギを握る。【取材・構成=浦田由紀夫】

   ◇   ◇   ◇

本多が引退し今季から内野守備走塁コーチに就任した。その名手がレギュラーから外れだして以降、ソフトバンクの二塁はなかなか固まらない。一塁内川、三塁松田宣、遊撃今宮。絶対的レギュラーが君臨するなか、二塁固定は近年のテーマでもある。明石、川島が相手投手の左右で起用される時もあったが、なかなか「絶対的」なレギュラーが現れない。昨年、牧原がつかみかけながら故障に泣いた。今年は牧原に大きな期待がかかるなか、キャンプがスタートしたが、浜名氏によれば、その「流れ」は違うという。

浜名氏 高田が非常にいい。特に打撃が向上した。まだオープン戦序盤だが、現状では高田が1歩リードしていると思う。

高田は内野のどこでもこなすユーティリティープレーヤー。守備能力は高く、守備固めに起用されることもある。首脳陣から「高性能バイプレーヤー」として評価されているが、レギュラーまでは届かない存在ではあった。

浜名氏 2日の阪神戦、途中出場した高田は左翼線に二塁打を放った。昨年までの高田ならドライブがかかった打球で、おそらくファウルになっていた。今年は打球が切れなかった。キャンプからでも、いい打撃をしていると変化を感じていたが、その打球を見て確信した。あの打球はしっかり球をとらえてないとフェアゾーンに行かない。左打者からすれば「流す」打球だが、高田はまるで「逆方向へ引っ張っている」ようだった。

ここまでは牧原中心にスタメン起用が続いている。その牧原は、本人が満足のいく結果を残せていないのが現状だ。

浜名氏 どこか「今年はオレだろう」と思っているような印象だ。でもまだ決まってないのが現状で、この時期にしっかりアピールしないといけない立場だと思う。首脳陣の期待もあって使われている面もあるが、決して安泰ではない。個人的にはすでに高田が上回っていると思う。「多分、今年は牧原だろう」と思ってキャンプを見ていたが、まったく白紙。高田の存在が日に日に大きくなっている。