甲子園V対決は、先輩が貫禄勝ちで締めくくった。西武今井達也投手(20)が中日のゴールデンルーキー、根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)と初対戦。第1打席に1軍初安打を許したが、続く2打席はきっちり封じた。甲子園優勝を経験した2人の対決に沸いたナゴヤドーム。無四球で6回を4安打無失点に封じた今井は開幕カードソフトバンク戦の2戦目(30日)での先発が有力。攻守で躍動した根尾は、逆転開幕1軍を目指す。

   ◇   ◇   ◇

9者連続凡退の大トリは、ゴールデンルーキーの第2打席だった。今井は4回先頭の根尾を3球で追い込むと、森のサインにうなずいた。内角をえぐる148キロの直球は、対角線上のストライクゾーンに吸い込まれる。18歳のバットは動かず、見逃し三振。「根尾君への最後のインコース真っすぐは、厳しいところに投げることができた」。1回の3番大島から始まった凡退リレーを納得の1球で締めた。

根尾の第3打席は、若くてエネルギーありあまる打ち気なバットを、巧みに外した。高めのコースを誘い水に、スライダーで芯をずらしボテボテの投ゴロ。1回の第1打席は150キロを左前へ運ばれ「高卒1年目とは思えないほどスイングは鋭かった。打たれていたけど2、3(打席)と抑えられてよかった。次の対戦が楽しみ」。2歳年上のプロ3年目右腕が、貫禄の投球をみせた。

壁を乗り越えてきた。根尾が高校1年生のとき、今井は甲子園の頂点に立っていた。作新学院(栃木)を54年ぶりの日本一に導いたエースとして、ドラフト1位で入団したが、1年目の登板はゼロ。2年目の開幕前には、未成年での喫煙発覚でユニホーム着用が禁止された。迎える3年目は開幕ローテの軸になろうとしている。この試合、3度訪れた得点圏のピンチでは「ギアを上げるというか、得点圏で1つ2つ上げられればと思っていた」といずれも空振り三振に仕留めてしのいだ。

球数は100球目安だったが、好投で84球にとどまった。「なにより無四球が収穫」と開幕2週間前に大きな手応えをつかんだ。開幕カードソフトバンク戦2戦目(30日)での先発が最有力。最終調整となる23日DeNA戦(メットライフ)に向け「今日は簡単に2アウト取れたけど、3人目でカウントを悪くした。3人目の入り方を大胆だけではなく、もう少し繊細にやっていきたい」。万全を期し、開幕ローテを担う。【栗田成芳】

▽女房役の森が今井の投球を「この時期にして素晴らしく、いつ開幕してもいいくらいの状態」と絶賛した。特に4番ビシエドには、直球でも変化球でも3打席連続空振り三振を奪い「低めに腕が振れている」と話した。また試合前には、大阪桐蔭の後輩・根尾からあいさつを受け「18歳であれだけバットが振れている。自分のときとは比べものにならない」と太鼓判を押した。

◆今井の甲子園V 16年夏、作新学院のエースとしてチーム全5試合に投げ4完投を含む5勝、防御率1・10。全試合で150キロ以上を出し(最速152キロ)、北海との決勝は1失点完投。チームを54年ぶり2度目の夏制覇へ導いた。