甲子園V対決は、先輩が貫禄勝ちで締めくくった。西武今井達也投手(20)が中日のゴールデンルーキー、根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)と初対戦。第1打席に1軍初安打を許したが、続く2打席はきっちり封じた。甲子園優勝を経験した2人の対決に沸いたナゴヤドーム。無四球で6回を4安打無失点に封じた今井は開幕カードソフトバンク戦の2戦目(30日)での先発が有力。攻守で躍動した根尾は、逆転開幕1軍を目指す。

   ◇   ◇   ◇

根尾に待望の瞬間がやってきた。1回1死走者なし。相手は2歳上、16年の西武ドラフト1位右腕の今井だ。初球150キロの内角直球を見送ってボール。2球目、再び150キロの外角低め直球に反応した。快音を響かせた打球が、三遊間をきれいに抜いた。

1軍初安打に「少しホッとした。1つの自信になる」というが、2打席目は空振り三振、3打席目は126キロスライダーに投ゴロ。高校時代は互いに甲子園で頂点に立ったが、差は歴然だった。8回無死一、二塁の好機ではヒースに空振り三振を喫し「次は打ちます」と悔しがった。ただ、守備では5回にゴロをジャンピングスローで処理してファンを魅了。9回は無死一塁での併殺崩れにくじけず、1死一、二塁から1軍戦初の併殺を完成させた。

初めてフル出場した2時間59分は、発見の連続だった。今井ら一線級の球に「同じ変化球でのストライクも、角度もキレも全く違う。高校とは全然違う」と素直に驚いた。打席以外でも敵味方のプレー全てが、学びだった。「走塁でのスライディングも強かった。これがプロなんだと思った」。同じ遊撃の源田の守備に「スムーズでお手本。足さばきもレベルが高い」と感嘆し、「ゲッツーも1つはシングルで終わらせた」と自身の9回の守備と対比し、反省した。

与田監督は16日からの楽天戦に根尾を帯同させず、15日からのウエスタン・リーグ、オリックス3連戦(ナゴヤ球場)に出場させる方針を示した。ただ、3試合の状態を見て19日からのオープン戦出場を検討するかと問われ、「その通り」と答え、開幕1軍の可能性を消すことはなかった。開幕まで2週間。ナゴヤドームでの2試合で得た収穫と課題をどう生かすのか。根尾にとっても、ファンにとっても注目の3日間となる。【伊東大介】

◆根尾の甲子園V 17、18年に史上3校目のセンバツ連覇。根尾は大会史上初めて2年連続胴上げ投手になった。18年夏も優勝し、大阪桐蔭は12年に次ぎ史上初めて2度目の春夏連覇。投手のほか遊撃、三塁、中堅、右翼でも出場した根尾は甲子園通算5勝、防御率1・93、打撃は3本塁打、打率3割7分1厘だった。