巨人丸佳浩外野手は、高めの直球をバットに乗せるように左中間席に運んだ。06年の実数発表後、オープン戦最多の4万6783人の前で移籍後初本塁打を披露した。

「バットの先でしたけど、うまいことバットに乗っかってくれた。ホームラン打者じゃないので『そのうち出るかな』くらいでしたが、最後の最後に出たので勢いに乗っていけるかなと思います」とかみしめた。

小学3年の時、東京ドームで野球を初観戦し、高橋由伸の放物線に魅了された。21年の時を経て、憧れだった巨人の選手として、ダイヤモンドで大歓声を浴びた。「結構、盛り上がってくれたのでよかったです。シーズンでも、こういうふうにたくさん打てればいいなと思います」と新天地でのシーズン開幕に視線を向けた。

独自のルーティンで気持ちを整え、打席に立った。3打席凡退に終わった後の6回、ベンチで声を張り上げながら、手元では自前のやすりでバットのグリップの汚れなどを削った。「昔からやっていることです」と広島時代から続ける儀式で次打席へと準備。打席後は“丸ノート”に感じたことをメモするなど、オンとオフの切り替えで好結果を生んだ。

打線はオープン戦最終戦で3発と上げ潮。12球団トップの19本塁打で開幕を迎える。原監督は1番吉川尚、2番坂本勇、3番丸、4番岡本を早々と公言。中でも「勇人が先陣を切って、丸が後ろに控える」と“ダブル3番”をカギに挙げる。オープン戦を打率3割1分1厘、1本塁打、4打点で終えた丸は「あれこれ考えても仕方ないので。やり残したことはないので。あと数日、しっかり練習して開幕を迎えたいです」と古巣広島との開幕戦に照準を合わせた。【久保賢吾】