評論家陣による阪神の戦いについての分析・提言や球界全体の話題、問題をプロの視点で語る日刊スポーツ「野球塾」。第2回は、現役時代にタテジマ一筋22年、4番や代打の神様として一時代を築いた桧山進次郎氏(49)の登場。9日から甲子園開幕の6連戦を戦う阪神に必勝法を指南です。【取材・構成=松井清員】

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9日の阪神戦に先発予定のDeNA上茶谷は東洋大の後輩でもありますが、とてもイキのいい球を投げる印象です。2日のプロデビュー戦も山田哲を3打席連続三振に斬るなど、ヤクルト打線を圧倒して7回1失点。181センチのスリークオーターから繰り出す直球や多彩な変化球は、キレがあってコントロールも抜群。大事な週頭の先発を任されるだけの素材なので、新人と思わず引き締めて戦うことが大切です。

そんな好投手を打ち崩せば、チームも一気に波に乗れます。キーマンはやはり中軸、中でも1年を通して4番の仕事が期待される大山です。開幕6試合は不調でしたが、広島3連戦では初めて長打も出て状態を上げています。まだ本調子ではありませんが、心を新たにDeNA戦に臨めるはず。前後を打つ糸井と福留がいいだけに、大山が復調すれば戦える形ができます。

上茶谷が投じる140キロ台後半の真っすぐはとても威力があります。対して大山の課題は右投手の直球です。どうやって打ち崩すか。大山は真っすぐに差し込まれる傾向のある打ち方なので、ヘッドを走らせるためにも打つポイントは気持ち以上に前に置くことです。その分、変化球が来たら泳いでOK。変化球は泳いだバットに引っかけて、浜風も利用して左翼スタンドに運ぶイメージです。

打線も全体的に広島3連戦で少し活気が出ました。広島に敵地で勝ち越し、良いムードで甲子園初戦を迎えられると思います。その大事な初戦、上茶谷から3~4回ぐらいまでに1点でも2点でも先取点が欲しいですね。それを4番大山のバットが運べば、ベンチは最高に勢いづくでしょう。

チームは昨年、甲子園で21勝39敗2分け借金18と大きく負け越しました。広い球場の特徴に反して、守り勝つ野球ができなかったからです。ただ多くの得点を望めない今のチーム状況は、まさに守り勝つ野球を求めています。1、2番で足やバントを絡めて得点機を作り、大山らの中軸で挙げた貴重な得点を投手中心に守り切る。ファンの人は面白くないかも知れませんが、これが必勝スタイルです。広島戦の9-0のような試合はレアケースです。

投手陣は安定していてリリーフ陣の強さは12球団トップだと思います。相手は1点でもリードされて終盤を迎えたらとてもイヤだと思います。だからこそ先行逃げ切り。週の頭を取れば気分も全然違うし、勝てば勝率も5割。まずは初戦です。(日刊スポーツ評論家)