<日本ハム3-1ロッテ>◇14日◇札幌ドーム

日本ハム西川遥輝外野手(26)の本能が、チームに貯金1をもたらした。

ロッテ3回戦(札幌ドーム)の7回に二塁走者として仕掛けた三盗が相手失策を誘い、決勝のホームを踏んだ。的確な状況判断と豊富な経験値から、しびれる場面で仕事を全うしたスピードスターの活躍で、チームは今季初の3連勝で貯金を1とした。

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昨季盗塁王の嗅覚が、チームに今季初の3連勝を呼び込んだ。暴投で同点に追いついた直後の7回2死一、二塁。二塁走者の日本ハム西川が、打者近藤の初球に三盗。捕手田村の悪送球(記録は失策)を誘って決勝のホームを踏んだ。

西川 本当に行く気はなかったけど…。レアードにも『行くぞ』とかやっていて『来いよ』という感じだったので。でも、行けたら行こうかな…も思っていなかったくらい。

走る気がなかった西川は、的確な状況判断と経験値から足を動かした。

まずは三塁手・レアードの守備位置。「下がっているな」とベースカバーに時間がかかりそうな位置取りを確認。次に松永がセットポジションに入ると「リードして、こっちを見ないなと思って『そのまま行っちゃえ』みたいな」と盗塁に無警戒であることを察知してスタートを切った。

勝負を決めた三盗が通算228個目。盗塁成功率8割7分で歴代1位(200盗塁以上)を誇るスピードスターは「一塁走者の時も基本的にそんな感じ。行けなかったら止まるし、セーフだなと思ったらそのまま走る」という。研ぎ澄ませてきた感覚が無意識に後押しして、最高の結果につながった。

三塁コーチの川名外野守備走塁コーチは、若き日の西川の姿を思い出していた。「ファームの時に同じ状況で初球に来てくれたことがある。そういう状況判断が大事だし、野球勘も進化している」とたたえた。2人の間ではアイコンタクトで、三盗ができる状況だと確認もできていたという。首脳陣から、自らの判断で盗塁を仕掛けられる信頼の「グリーンライト」も与えられている西川。そんな足のスペシャリストの本能が、チームに貯金1をもたらした。【木下大輔】