楽天平石洋介監督(38)が、節目の1勝を刻んだ。3回にオコエ瑠偉外野手(21)の2号2ランで先手を奪い、今季5試合目でオリックス戦初白星。球団通算900勝を達成した。球団創設の05年から在籍する生え抜きとして歴史を見届けてきた指揮官が、東北に再び歓喜をもたらす白星を積み重ねていく。

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楽天平石監督は、その1勝の意味を静かにかみしめた。「今の選手とスタッフはもちろん、今までイーグルスに携わってきた先輩方も含めた、みんなの力だと思う。イーグルスができてからこれまでのことを、これからの選手たちにも伝えていければと思います」。東北とともにあった球団の歩み、そこに情熱を注いできた全ての人に敬意を表しつつ、未来に目を向けた。

11年の現役引退までチームは422勝を積み重ねていたが「僕は現役時代、ほとんど貢献していないから」。引退直後から1、2軍の指導者を歴任。この日も教え子が躍動した。今季初めて2番で起用したオコエが強烈な先制パンチ。試合前の時点で打率1割6分7厘も「打撃の状態、内容が良かった。小技の部分でも成長して、いろいろできる」と見ていた。

フラットな目線を保ち、しっかりとチームを把握しているからこその用兵。近大時代、2学年上の平石監督擁する同大と、同一リーグで対戦を重ねた藤田は衝撃を受けたという。「同志社は平石さんのチームでした。攻撃の時もベンチでいろいろ指示を出していたし、守備の時も、外野手であんなにチーム全体に目を配って指示を出す人は、あまり見たことがない。まるで“監督”みたいだった。野球がうまいだけじゃなく、リーダーの資質とでもいうんでしょうか」と振り返る。

死球を受けた影響で欠場していた「つなぎの4番」島内が復帰戦で1号を放ち、粘投の先発美馬の後は開幕から獅子奮迅のブルペン陣がリードを守った。今季唯一勝てていなかったオリックスに競り勝ち、単独首位をキープ。節目の1勝を通過点に突き進んでいく。【亀山泰宏】