阪神が連敗で貯金を減らし、イライラをためた。首位広島を追いかける直接対決第2ラウンド。打線は苦手のジョンソンから1点を奪うのがやっとで、このカードもう5年も勝てていない岩田は6回途中KO。歯車がかみ合わず、矢野燿大監督(50)が観客のヤジに「応戦」する場面もあった。この3連戦で3連勝なら同率首位だったが、広島戦6連敗で5ゲーム差に…。天敵の色が濃くなってきた。

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後味の悪いカープ戦6連敗になった。1点差に迫った直後の6回。岩田はバティスタにソロを浴び、さらに満塁とされた。石原に中犠飛を許したところで、矢野監督が投手交代を告げた。そして三塁側ベンチに戻ったときだった。

背後から痛烈なヤジが突き刺さった。「矢野! お前が早く(投手を)代えないから打たれたやろ! 早く代えとけや!」。60歳代とみられる男性ファンがフェンスに張り付くように口角泡を飛ばしていた。しつこく続くと、たまりかねた指揮官も客席側に向かって応酬。口論する光景がみられ、周囲は騒然とした。

男性ファンはさらに頭を指さす、侮辱的なしぐさも見せた。普段は温厚で、ファンサービスも率先して行う矢野監督も、心ない言動に我慢できなかった。就任後、初めて見せた激怒だ。指揮官は信念を持って采配する。ヤジが飛んだ場面の継投も「代えどきはね。まだ球数的にも難しいとは思ってない。俺は岩田に任せようと思っていた。そこの難しさは俺は何も感じてない」と言い切った。岩田は石原を迎えるまで97球。踏ん張りどころと判断した。

王者相手に手は打った。前夜、右ふくらはぎを負傷した福留が2軍降格。糸井もコンディションを考慮された。陽川を1軍昇格即先発させ、マルテを来日初の3番に昇格させるオーダーで臨んだ。だが、難敵ジョンソンに苦戦。6回に1点を返すのが精いっぱい。5月18日に6回無得点で白星を献上したが、またも歯が立たなかった。

矢野監督は若手の奮起を期待する。「めちゃめちゃチャンス。いい姿を見せてほしいのは俺もすごく思っている。アイツらがどう受け止めて、どういう姿を見せてくれるか」。6月初戦は黒星。4カードぶりに負け越しが決まったが、2日こそ王者に一矢報いたいところだ。【酒井俊作】