阪神担当が独自の視点で取材する今回の「虎番リポート」は、今年も首位を走るファームの「投手改革」にスポットをあててみた。先発投手の遠征中の働き方が昨年からちょっぴり変化している。

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積極野球を掲げた昨季2軍は矢野監督の下、ファーム日本一を成し遂げた。特徴は盗塁数。走りに走った163盗塁はウエスタン・リーグ新記録をマークした。ただ、今季は投手陣の躍進が、首位快走を支えている。

理由がある。平田2軍監督になってから、ある改革が行われた。昨季は3連戦が遠征の場合、先発投手は登板前日の現地入りが基本で、第3戦の投手なら第2戦の日だった。また先発した投手はその日に帰阪していた。だが、今季は3試合とも同行し、登板日以外はバックネット裏で1球1球チャートをつけている。2軍で先発ローテーションを守る2年目の馬場は有意義な時間だと実感している。

「試合もチャートも勉強。先発の前に1試合を見ることで『自分ならこうだな』だとか客観的に考える時間ができた。甘くなるより『ここはボールでもいいから内に攻めた方がいいな』だとか、1つずつ突き詰めていける。ベンチで見ているのとは、また違いますね」

そんな勉強が投手の「脳力」強化につながっている。馬場だけでなく、望月、湯浅ら次世代ローテ投手はじっくりと育っている。さらに1軍格の秋山は2軍で6戦6勝と好調で、右肘痛で出遅れた昨季7勝の小野、インフルエンザ明けの岩貞も調整中だ。救援陣に目を向けても15試合登板で防御率0・44を誇る福永、登板10試合連続無死点の石崎、左腕では育成石井がチーム最多18試合登板と、若虎投手陣はじわじわと層を厚くしている。【取材・構成=真柴健】