かつて日本人メジャーリーガーでサイクル安打に手をかけた男が14日、エンゼルス大谷の快挙に「本当にすごいね」と感嘆の声を上げた。

西武松井稼頭央2軍監督(43)はロッキーズ時代の07年10月4日、フィリーズとのナ・リーグ地区シリーズ第2戦で満塁弾を含む3安打5打点と大暴れ。だが単打が足りずにサイクルを逃した。またアストロズ時代の08年8月8日レッズ戦でも右本塁打、四球、右二塁打、一安打、三ゴロ、左飛で、三塁打が足りなかった。

松井2軍監督はひたちなか遠征に出発する直前に取材に対応。「フィリーズ戦の最後の打席? もちろんヒットを狙いましたよ。そんな機会なかなかないですから。でも、その1本が出ないんですよね。もしくはサイクル越えになってしまったり」と振り返り「今日の大谷くんの打席は、ホームラン、ツーベースまでは(テレビで)見てました。その後は練習だったんで見られませんでしたけど、4打席でサイクルするって、本当にすごいですよ」と驚きの表情を浮かべた。

大リーグ時代の松井2軍監督にとって、安打、二塁打、三塁打、本塁打の中で一番難しかったのは本塁打だったという。「僕は足があるので間を抜けると三塁打の可能性はありますから、ホームランが一番難しい。大谷くんはセンターとか逆方向にもホームランが打てる。(今日の本塁打は)左中間へのライナーでしょ。二塁打もそうだし」と大谷の広角にアーチをかけられる能力がサイクル安打を近づけたと分析した。

松井2軍監督自身、メジャーに移籍した04年から、3年連続シーズン初打席本塁打という離れ業を記録している。それでも「(大谷の記録は)僕とは比べものにならないですよ」と謙遜。メジャーで長く活躍することの難しさも熟知しているだけに「これからも、まずはケガなくシーズンを送ってほしい。162試合ある中でも毎日のコンディション維持であったり、難しさがあるから」とエールを送っていた。【千葉修宏】