日本ハムがエースを欠いて残りシーズンを戦うことになった。18日のDeNA戦(横浜)で打球が左膝に直撃した上沢直之投手(25)が19日、都内の病院で左膝蓋(しつがい)骨骨折と診断され、患部の整復固定術を受けた。全治5カ月の見通しで、今季中の復帰は絶望的となった。19日同戦(同)は、今季3度目のサヨナラ負けでワーストタイの4連敗となり、2カード連続の負け越しが決定。チーム力が試される時が、やって来た。

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2つのショックがチームを襲った。6-6で迎えた9回の攻防。無死一、二塁の好機を逃した直後に、勝利の女神はそっぽを向いた。守護神の石川直が1死二塁から大和に左中間を破られ、サヨナラ負け。今季ワーストタイの4連敗となった栗山英樹監督は「よく粘ったけど、申し訳ない。こっちの責任」と早口でまくしたてた。チームに渦巻く“負の流れ”を、止めることが出来なかった。

試合中には、前夜の試合で左膝に打球が直撃した上沢が手術を受け、全治まで約5カ月の見通しと球団から発表された。今季中の復帰は絶望的。球団を通じて「大事な時期にチームを離れることになり、本当に残念です。チームは必ず優勝すると信じているので、これからしっかりとリハビリしていきます」とコメントした。残り75試合はエース抜きで戦うことになった。

投手陣の総力を結集して、大きな穴を埋めるしかない。チームは今季、投手起用の中でリスクマネジメントをしてきた。先発は上沢と有原の2本柱が軸。器用な金子と加藤は、先発と中継ぎを兼務して、足りない部分を補ってきた。右肩故障から復活途上の杉浦は、十分な登板間隔を保ちながら谷間を埋め、新人の吉田輝や生田目も先発デビューさせて手駒を増やした。

開幕直後は「ショート・スターター」を多用。短いイニングで結果を残した上原は先発として、堀やロドリゲスはリリーバーとして台頭。栗山監督は交流戦明けの投手起用について「中継ぎに負担がかからないようにしないといけないけど、やり方は、いっぱいイメージがある」と話す。不測の事態に備えて、布石は打ってきた。エースの抜けた穴を埋めるのは簡単ではないが、こんな窮地こそ、知将の腕の見せどころだ。【木下大輔】