阪神が7戦ぶりの2桁安打で広島に打ち勝ち、1週間で借金生活を脱出した。3-3の4回に糸原健斗内野手(26)の1号3ランで勝ち越し、14安打8得点で振り切った。2位広島に連勝し、同率3位だったDeNAが敗れたため、6月6日以来1カ月ぶりに2位に浮上。反攻ムードは高まった。巨人の背中を7・5ゲーム差で追う!

  ◇    ◇    ◇

バチッと真芯で捉えた。糸原が放った低弾道のライナーが、右翼ポール際スタンドに突き刺さる。着弾を見届けると右拳をグッと握った。待望の今季1号は勝ち越し3ラン。ゆったりとダイヤモンドを回り、ベンチに戻るとナインから祝福の嵐を浴びた。プロ3年目で通算3本。その全てが甲子園で、お立ち台ではそのデータを素直に喜んだ。

「本拠地で打てるのは最高です。ホームランバッターではないですが、大事な場面でうまく打つことができて良かったです」

鋭い一振りだった。3-3の4回だ。1死から木浪が左前打で出て、代打鳥谷も続き、2死一、二塁。アドゥワの4球目、内角低めにきた144キロ直球にアジャストした。体の前で完璧に捉え、甲子園に歓喜の渦を巻き起こした。

26歳のキャプテンは存在感でチームを鼓舞する。守備ではマウンドに足を運んで投手を激励するシーンも多々ある。二遊間を組む木浪が「自分がマウンドに行こうと思ったタイミングで、先に糸原さんがマウンドに行ってくれているときもある」と証言するほど、投手の心を思いやる。周囲がよく見えているから、気遣いができる。

この日の糸原は初回に右前打で先制機を広げ、3回にも先頭で左前打を放って今季3度目の猛打賞。その躍動につられるように、猛虎打線は奮闘した。6月26日の近畿地方梅雨入り後初となる2桁、14安打をマークし、投手陣を助けた。広島に連勝して、単独2位に浮上。何より借金を返済して勝率5割に戻したのが大きい。7・5差で追う首位巨人の背中を見据え、糸原は「勝つことだけを考えてやっている」とキャプテンシーを前面に出した。

矢野監督は糸原の決勝3ランに「いや~大きかったね。しかも3打点というね。本当に最高の形でよかったです」と絶賛。今季最多4万6755人が集った甲子園のお立ち台でフラッシュライトを浴びた背番号33。左胸のCマークが誇らしく輝いた。【真柴健】