中日松坂大輔投手(38)が306日ぶりの1軍登板でも、昨年と変わらない姿を見せた。3回2死一、二塁から糸井に適時二塁打を許し同点。2死満塁から陽川を迎えると右腕はギアをトップに入れた。カウント1-2からの4球目。コーナーに140キロのツーシームを決め、この日初の見逃しの三振を奪った。昨季満塁の場面では12打数無安打。満塁被打率0割の男が真骨頂を見せた。

5回91球、4安打2失点。勝敗はつかなかった。「満足できる投球ではなかったが、チームの連勝を止めずに済んだことは良かった。ファームより良かった。久しぶり試合で腕を振って投げられた」。リリーフ、打線が粘り、押し出し四球で今季2度目のサヨナラ勝利につながった。

春季キャンプでファンとの接触で右肩炎症を発症。出遅れながら、5月28日にウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦で実戦復帰。2軍で4試合18回、4失点、防御率2・00の成績を残し、この日を勝ち取った。勝利の直後には、2軍生活で小麦色に焼けた笑顔でナインを迎えた。

反省も口をついた。「小さいミスがつながった」。5回には1死から連続でツーシームを引っかけ2死球。次打者糸井を一ゴロに打ち取り、二塁封殺。しかし、一塁に転送された球を捕球しながらベースを踏めず、2死一、三塁のピンチを残してしまった。後続を断ったものの、内容に満足はしなかった。

それでも与田監督は笑顔でベテランの復帰登板を振り返った。「(松坂の投球に)まだまだ満足していないけど、5回までしっかりゲームを作った。ピンチのときに次の失点をしない粘り強さも出してくれた。非常に気合も入っていた。リリーフも6回以降をヒットゼロ。いい流れを作ってくれた」。今季から背番号18に戻った「平成の怪物」が、令和時代に足跡をしるした。今季初勝利、日米通算171勝目を挙げる日は近い。【伊東大介】