道社会人・大学選抜の1番右翼で先発フル出場した米満凪右翼手(22=北海道ガス、奈良学園大)が、4打数2安打とチーム唯一のマルチ安打を放つ活躍を見せた。

昨秋はドラフト指名候補として注目されたが、プロからの指名はなく涙をのんだ。新天地の北海道で野球を続ける道を選んだ社会人1年生が、初めてのプロチーム相手の試合で存在感を発揮した。試合は道社会人・大学選抜が日本ハムを1-0で下した。

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米満が貴重な経験と大きな収穫を得た。3回1死二塁の第2打席に日本ハム宮台から中前打。8回先頭の第4打席では柿木から左前打を放ち、バットで結果を残してみせた。「うれしいですね。レベルが高いプロの投手との対戦なので楽しみにしていた。やっぱりこういう場で打てたのはうれしいです」。初めて対戦したプロの投手から放った2安打は、昨秋の悔しさを晴らし、自信を深めるものとなった。

プロ入りを目指して奈良学園大でプレーしていたが、昨秋のドラフトでは注目されながら指名から漏れた。「悔しかったですし、沈みました」。その矢先、昨年新たに創部された北海道ガス野球部の小島啓民監督(55)から誘いを受けた。「素直にうれしかった。野球がまたできるという幸せのような、喜びのような」と北の大地で再出発する道を選んだ。

後輩の活躍も刺激にする。日本ハム平沼は敦賀気比の1学年後輩にあたる。高校3年の15年にベスト4進出を果たした夏の甲子園でもともにプレーしている。代打や代走での出場が多かった米満は、準決勝の大阪桐蔭戦では途中出場し安打も放っている。久々の後輩との再会に「久しぶり、よろしくね」と声をかけた。今季1軍で45試合に出場、プロ初本塁打を放つなど活躍する後輩を見て「自分も頑張らないとと思う。刺激をもらいますね」と笑みを見せた。

社会人1年目。普段は北海道ガスの社員として朝9時前から正午までは、営業職としてデスクワークをこなし、午後から練習で汗を流す。大阪生まれで北海道に来たことは1度もなかったが「生活は慣れました」と充実感も感じている。「全打席で安打を打てるのが一番いい。1本でも多く打てるように」。この日の経験を胸に刻み、腕を磨いていく。【山崎純一】

◆米満凪(よねみつ・なぎ)1997年(平9)1月9日、大阪・堺市生まれ。日置荘西小、日置荘中時代は八尾フレンドに所属。敦賀気比では1年秋からベンチ入りし2年春、3年夏の甲子園に出場。奈良学園大では1年春からベンチ入りし、4年で大学日本代表に選出された。170センチ、68キロ。右投げ左打ち。