主将が打ったからには、エースもただでは終われない。巨人菅野智之投手(29)が、簡単にマウンドを譲らなかった。

4点リードの7回2死一、三塁。先制ソロを許した菊池涼を迎え自らを中心に輪ができた。球数は117球。宮本投手総合コーチの問いかけに「いけます」と答えた。低めのスライダーで三ゴロ。「リードした展開で粘れないことが多かった。乗り越えられたことは大きい」。7回2失点で11勝目を挙げた。

腰の違和感から復帰後はプレート位置を真ん中にしていた。投球時のひねりによる体への負担軽減を優先したが、2日DeNA戦から三塁側へ戻した。「何をとるか。1番いいボールは右の外角、左の内角のスライダー。持ち味を生かす部分もある」。8日の中日戦では、従来の三塁側から数センチ中心側へずらした。真ん中を踏んでいた相手先発の柳が深く掘った穴を避ける微調整。「日々ベストを尽くしていくだけ」と状態の良さが臨機応変な対応と好投につながっている。

5回2死二塁をしのいだ直後、坂本勇の「キリンビール」看板直撃逆転弾が飛び出した。「信じていました。勇人さんからビールをもらって、栄養つけて頑張ります!」。歓喜の乾杯まで、1ミリも気を緩めず突き進む。【桑原幹久】