最強コラボで完勝だ。ラグビーワールドカップ(W杯)日本代表の主将でフランカーのリーチ・マイケル(30)と、SH田中史朗(34)が東京ドームを訪れ、始球式を行った。巨人原辰徳監督(61)は大のラグビーフリーク。熱いハグで健闘を誓い合った直後の一戦で、3回に岡本の3ラン、丸の満塁本塁打など1イニング10得点のビッグイニングで大勝。苦手広島に2勝1敗と勝ち越し、優勝へのマジックを18に減らした。

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試合開始17分前、普段は巨人選手が行き交う東京ドーム一塁側通路で、桜のジャージーを着た屈強な男たちが軽快にパス練習を開始した。始球式に登場したラグビー日本代表のリーチと田中が、楕円(だえん)のボールを小気味よく扱う。

体も温まった5分後。ベンチ裏からラグビーファンの原監督が現れた。2人に歩み寄り、熱い抱擁を交わす。「ラグビーは見ていると涙が出るスポーツ。本当に涙が出てくる。前回の南アフリカ戦のような熱い戦いを期待してます」。15年のW杯で日本代表が2度の優勝経験を誇る王国を破った番狂わせ。歴史的ジャイアントキリングの再現を期待して、広島との決戦の場に戻っていった。

1回に1点を先制された直後の2回。1死一、二塁から大城の右翼線二塁打で二塁走者のベテラン阿部、一塁走者ゲレーロが本塁へ激走し、逆転した。3回は1点を追加した後、4番岡本が右翼席へ2試合連続の3ラン。さらに丸にも満塁本塁打が飛び出した。6連打を含む打者15人の猛攻で10得点。指揮官は「よくつながったし、相手の守備(のミス)にも助けられた。あらためて守備力は重要だなと思いましたね」。チーム一丸で3回までに12点を奪い、試合を支配した。

ラグビーが持つ献身性やフォア・ザ・チームの精神。原監督は野球にも通ずる部分があると長く愛着を抱いてきた。15年W杯は「ラグビーの聖地」英国トゥイッケナムスタジアムで決勝を生観戦。大会前には日本代表候補合宿で訓示を行ったこともある。リーチは「前回大会で『鬼になれ』と言っていただき、いい言葉だと思ったのでチームミーティングでも何度も使わせてもらった」と感謝する。

野球もラグビーも、時には「鬼」となって戦う気構えが必要。W杯初戦、9月20日のロシア戦まで巨人は18試合を残し、5年ぶりVで前祝いとできる可能性は十分。「1戦1戦、しっかり戦っていくことに変わりはありません」。チーム一丸の精神で、その時に向かっていく。【前田祐輔】