中大が劇的な逆転勝利を挙げ、04年秋以来、15年ぶり25回目の優勝を決めた。立正大戦は4点差を追う8回、4安打に3四球を絡めて6点を奪い、試合をひっくり返した。7-6の逃げ切り勝ち。勝ち越し点は満塁からの暴投だった。これで勝ち点4(8勝1敗)とし、他校は及ばない。中大は来月15日からの明治神宮大会に東都大学の代表として出場する。東洋大、亜大も勝ち、ともに3回戦に持ち込んだ。

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雨の中、15年ぶりに清水達也監督(55)が宙に舞った。「すいません、慣れないもんで。大工(大工原主将)行け!」。早々に胴上げの輪から抜け出すと、主将を指名した。「すごい勝ち方、奇跡です」と笑顔でV決定を振り返った。

8回、4点差をひっくり返した。押し出し四球も含め4安打して追いつくと、満塁からの暴投で2点を加えて勝ち越した(記録は暴投と失策)。4番の牧秀吾二塁手(3年=松本第一)は「自分が打ってもまだ2点差。後ろに頼れる打者がいるんで、走者をためようと思いました」。4回に同点打したが、冷静に四球を選び逆転を導いた。

3年生ながら副主将を任される。清水監督が「核にしたい選手」と説明した。今夏の日米大学野球では全日本の4番を務めた。「自信がつきました。柳町さん(慶大)から初球の待ち球、追い込まれたら何を打つかとか」。他校の先輩から学びチームに戻った。

ここまで31打数12安打の3割8分7厘、1本塁打。打点13はリーグトップだ。「今は楽しい。去年は下を見て試合、練習していた」と言う。2季連続の最下位だった。副主将となった今は「上級生と下級生の話を聞きながらやってきた。4年生が引っ張ってくれるんでやりやすい」。こう言って、涙を流す主将の大工原に目をやった。

来年のドラフト候補に名前が挙がる。「まだ早いです」。照れる3年生を中心に、名門が復活した。【米谷輝昭】