2019年度の沢村賞は、2000年(平12)以来19年ぶりに「該当者なし」となった。

故沢村栄治氏を記念し、シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会が21日、都内のホテルで開かれた。

最終的な候補は、巨人山口俊投手(32)と日本ハム有原航平投手(27)に絞られた。山口は26試合登板、15勝、188奪三振、勝率7割8分9厘。有原は15勝、161奪三振、防御率2・46、勝率6割5分2厘。ともに選考基準全7項目のうちの4つをクリアした。

一方で完投数は有原が1、山口はゼロ。投球回が200に達した投手は1人もいなかった。堀内恒夫委員長は「野球のシステムが変わってきて、非常に完投しにくくなっている。ですからクオリティー・スタート(QS)という項目を参考に入れている。でもこれを(選考基準に)入れるほどレベルを下げていって、完投なしでもいいとなると、沢村さんの名前に傷をつけてしまうような気がする」。

平松政次委員は「この2人の成績を見ると甲乙つけがたい。どちらかを落とせない。しかし、ダブルで2人が受賞するには成績が物足りない。そういう選考の苦労があった」と話した。

山口と有原の他、6完投した大瀬良(広島)、3完封の今永(DeNA)、2完封で227奪三振の千賀(ソフトバンク)らも名前が挙がった。

◆沢村賞選考委員(敬称略、就任順)平松政次、堀内恒夫、村田兆治、北別府学、山田久志

◆沢村賞 故沢村栄治氏の功績をたたえ、1947年(昭22)に制定。同賞受賞者または同等の成績を挙げた投手で、現役を退いた5人を中心とする選考委員会で決定。当初はセ・リーグ投手を対象にしたが、89年から両リーグが対象。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。

原則的な選考基準は以下の7項目。

(1)15勝以上

(2)150奪三振以上

(3)10完投以上

(4)防御率2・50以下

(5)投球回200以上

(6)登板25試合以上

(7)勝率6割以上

また投手分業制を鑑み、昨年からは先発7回以上、自責点3以下だった試合の割合を示す「日本版クオリティー・スタート(仮称=QS)の達成率」も考慮の対象になった。

昨年は巨人菅野智之投手(30)が選考基準全7項目をクリアして、2年連続で受賞した。