鯉の巨人キラーは俺に任せろ! 広島ドラフト3位の霞ケ浦・鈴木寛人投手(18)が11日、茨城・土浦市内のホテルで入団交渉を行い、契約金4500万円、年俸600万円で仮契約を結んだ。

対戦したい球団は「巨人」と真っ先に答え、坂本勇人内野手(30)との対決を心待ちにした。身長187センチで将来性が期待される長身右腕が新生佐々岡カープの新たなピースとして加入する。(金額は推定)

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心が真っ赤に染まった瞬間だった。「あらためて、これから広島東洋カープの一員になったという思いがあります」。入団交渉を終え、鈴木寛はプロへと気持ちを切り替えた。対戦が楽しみな球団を問われ、チームのリーグ4連覇を阻んだ宿敵の名を発した。「巨人に投げたい。打線が強いので、そういったところを抑えていきたい」。対戦したい打者には坂本勇を指名した。

身長187センチから投げ下ろす最速148キロの直球とスライダーが武器の右腕は、自身の性格を「負けず嫌い」と分析する。今夏はエースとして母校を4年ぶりに甲子園へ導いたが1回戦で阪神ドラフト2位井上広大外野手(18)を擁する履正社に打ち込まれ、井上には初回に1発を浴びた。「対戦できる機会があると思うので、そこでリベンジしたい」と逆襲を誓った。

プロ入りへ向け、現在は土台作りに時間を割く。「体を動かしていかないとついていけないと思った」と、投球練習は高校現役時同様に行い、約20分のランニングや、1日10本のポール間走など、走り込みの量を増やした。加えて、「けん制だったり弱点を克服しようと思っています」と課題にも取り組む。

17年ドラフト5位で広島に入団し、来季の先発ローテーション入りを狙う遠藤淳志投手(20)は同校の2学年先輩にあたり、鈴木寛も「目標」に掲げる。尾形スカウトは「遠藤は柔らかくて、鈴木は強いという感じ。まだ体幹は弱いけど、ボールの力はあるし、スライダーは速く縦に落ちる。先発タイプですね」と評価する。

契約金の使い道について鈴木寛は「使わないように貯金して、あとは親に恩返しをしたい。車を買ってあげたい」と心優しい一面もみせた。投手王国再建を託された新生佐々岡カープに、将来性豊かな右腕がまた1人加わった。【古財稜明】

◆鈴木寛人(すずき・ひろと)2001年(平13)10月7日生まれ。茨城・筑西市出身。下館西中時代は筑西田宮ボーイズでプレーした。霞ケ浦では1年秋の関東大会からベンチ入り。縦に曲がる高速スライダーが武器。広島に17年ドラフト5位で入団した遠藤淳志投手(20)は同校の2学年先輩にあたる。187センチ、79キロ。右投げ右打ち。