南東北大学野球リーグ石巻専大(宮城)の門屋龍征外野手(4年=聖和学園)がBCリーグの富山に特別合格選手として入団する。

生まれつき良性の下顎(かがく)腫瘍が持病で、生後6カ月で下顎の骨の摘出手術を受けた。足の骨を代わりに移植して、症状は治まるかと思われたが、再発が続いた。これまで20回の手術を受けた。入退院を繰り返し、車椅子生活も経験。満足に野球ができない時期も続いた。

苦難にも諦めず、素質は開花した。石巻専大3年秋に初めて規定打席に到達すると、初のベストナインも獲得。4年春は主軸を担った。「大学まで野球ができたのは周りの人の支えがあったから。自分には野球しかない」と、卒業後も野球を続ける覚悟を決めた。

社会人野球でのプレーを目指していたが、声は掛からなかった。「社会人がだめなら独立リーグに行く」と家族にも打ち明けたころ富山に合格。母美香さんから、1度は心配されたものの「おめでとう」と後押しを受けた。門屋は「今後の生活が厳しいことは知っている。それでもやることは変わらないので、今は少しの不安と大きな期待です。肩と長打力を武器に、厳しい環境の中で走攻守すべてを極めたい」。北陸の地でNPBの狭き門をたたく。【相沢孔志】

◆門屋龍征(かどや・たつゆき)1997年(平9)6月19日生まれ、宮城・名取市出身。那智が丘小1年から野球を始め、中学時代は仙台ボーイズに所属。聖和学園から石巻専大。50メートル走は6秒3、遠投は105メートル。右投げ右打ち。175センチ、82キロ。家族は両親。