巨人原辰徳監督(61)が7日、客員教授を務める千葉・勝浦市の国際武道大で講義を行い、プレミア12で世界一に輝いた稲葉篤紀監督の3つの決断に賛辞を送った。

世界一に輝いた09年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では稲葉監督を4番に据えた。「稲葉監督は監督経験はありません。しかし選手の経験は日本の中でもこの上ない経験を持っている。プレミア12では3つの素晴らしい用兵があった」と切り出した。

<1>坂本に代打山田哲 ベネズエラ戦の8回、2点を追う1死満塁の場面で不調の坂本に代打を送った。「なかなかできるものではない。坂本も素晴らしい選手。同じ右バッターの山田。この選手も素晴らしいけど、初球をレフトに大ファウルを打って、結果的に押し出しのフォアボールを取った。ここから好転した形で逆転した」

<2>代走周東 1点を追うオーストラリア戦の7回に代走周東が、2盗塁と投前バントで生還。「足のスペシャリストということで相手のデータに入っている。慌てた状態でかいくぐって、同点に追い付き、逆転した」

<3>先発山口の1回降板 勝てば世界一の決勝で、先発山口が1回に2失点すると降板を決断。「初回、もちろん2点取られたが2回から継投に入った」

「3つの用兵、作戦は素晴らしかった。監督は選手、チームを把握して理解する。その中で最善策を選ぶ。もう少し言うなら瞬時に選ぶ。素晴らしい用兵だった。勝つべくして勝った。仮にプレミア12であまり結果が良くなければ、日本代表チームも稲葉ジャパンという名のもとにオリンピックを目指していたか分からない。それぐらい勝負の世界は厳しい。思い切った用兵で、迷わずに瞬時に決断を下すことはさらにやってもらいたい」と東京オリンピック(五輪)に向けてエールを送った。