日本ハムが春季キャンプを行う沖縄県名護市の名護市営球場が、大規模改修工事を経て「タピックスタジアム名護」として生まれ変わった。グラウンドは札幌ドームと同じ両翼100メートル、中堅122メートル。ウエートルームの機材は、世界中に展開するフィットネスクラブ「ゴールドジム」の協力を得て、最新のものを備えるなど、先乗り自主トレを行う選手の評価も上々だ。プロ野球キャンプ地の先駆けとなった同スタジアムの変貌ぶりに潜入した。

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広々としたエントランスに足を踏み入れると、真新しい建物のにおいが鼻をくすぐる。スタンド最上階からは、天然芝と黒土が映えるグラウンドの背後に、エメラルドグリーンに輝く海が広がっていた。「素晴らしい眺望も見どころです」。25日、名護市が行った落成記念式典で関係者が胸を張ったのも、うなずける。絶景に、うっかり仕事を忘れてしまいそうだ。内野席には大きな屋根が取り付けられ、南国の強い日差しを防ぐ。主将の西川は「打球音が反響して気持ちいい」と、選手にもおおむね好評だ。

日本ハムが初めてこの場所でキャンプを行ったのは、旧名護球場が完成して2年後の1979年。当時は両翼90メートル、中堅110メートルで、外野フェンスは花壇のブロックだった。本格的に整備されたのは81年。老朽化から2017年の春季キャンプ後に取り壊され、総工費約45億6000万円をかけて生まれ変わった。

こだわりは、随所に見られる。グラウンドは札幌ドームと同サイズに拡張され、ウエートルームには海外展開するフィットネスクラブ「ゴールドジム」の協力を得て、球団と市で最新機器を取りそろえた。フルカラーの電光掲示板にエレベーター、ユニバーサルデザインのトイレも完備。石造りだったスタンドの座席は、お尻に優しい個別シートに。これなら、長時間の観戦にも耐えられそうだ。

名護キャンプは、球団の歴史そのものと言っていい。遊歩道となった外周には、球場の年譜や、歴代の名監督、名選手の写真などが飾られ、ちょっとしたギャラリーになっている。球団マスコットがデザインされたマンホールもあり、遊び心も忘れていない。スタジアム前の駐車場横には、移設された大社義規元オーナーの胸像が静かにたたずむ。令和2年。この場所から、どんな伝説が生まれるのだろうか。【中島宙恵】

○…オープン戦のこけら落としとなる22日巨人戦は、名護市側の希望で、2年前から球団が巨人と交渉を重ねて実現した。巨人が2次キャンプを行う「沖縄セルラースタジアム那覇」から遠征し、沖縄県内の他球場で試合を行うのは異例。球団関係者は巨人側の協力に感謝。「チケットの発売日が決まっていないのに、今から問い合わせがすごい。反響の大きさを感じます」と、うれしい悲鳴を上げていた。