阪神矢野燿大監督(51)と日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏(66)が「V対談」を繰り広げた。近鉄、日本ハム監督時代に計2度のリーグVを成し遂げている梨田氏と、今季日本一を目指す矢野監督。今キャンプの手応えだけでなく、球団史上最多8人となった外国人選手の「ローテーション起用」など悲願のVに向けて語り合った。【構成=松井周治】

   ◇   ◇   ◇

梨田 外国人選手に関しては、いろいろなことが試せますね。外国人野手を3人使ってみたりとか。ちょっとおもしろい。昨年はそんなことを考える余裕、層の厚さはなかったと思いますが。大変でしょうが、使う楽しさもありますね。

矢野 そうですね、それはこっちの勉強ですね。ガンケルもエドワーズもすごく日本で成功したいとハングリーです。すごく勉強熱心でもあります。

梨田 ガンケルはコントロールがいいのが強み。

矢野 (マイナー通算の)与四球率が1・4台です。

梨田 四球を2つ出さないというのは守りやすい。守りといえば、昨年は守備の乱れ、失策が多かった。ここも課題ですね。

矢野 どんどんチャレンジしていってもらって。大山も昨年20失策したのですが、去年の秋に毎日早出特守をやったり、それくらいの意識でやっています。

梨田 (三塁を争う)マルテも一緒に特守をしているのがすごくいいですね。すごく刺激になると思いますし、ましてサードのホットコーナーで。みんながピリピリしている。本当にいいキャンプで、すごく楽しみ。外国人選手と競争の中で、大山が変わった印象がすごくします。ステップも左足を大きく上げていたが、すり足に近い状態に。バットもインサイドから出ています。マルテへの意識はなかったと思いますが、とにかく自分を出そうというのを感じました。それと糸井も福留も…。

矢野 めちゃ元気なんですよ。

梨田 やっぱり(競争)意識が。(うかうかしていると)自分のポジションないよっていうね。分からないですが、キャッチャーの梅野、センターの近本と、ポジションはこの2人が決まっているくらいで、あとは野手は全然決まっていないのかな、と見える。

矢野 そうですね、そのつもりで選手もやっていってくれているように見えますし、僕もそういうメッセージは伝えているつもりです。(福留)孝介や(糸井)嘉男も実績を残している選手ですが、そういうところも分かってくれて、孝介も初日からフルメニューをやってくれています。

梨田 暗黙の了解というか、そういうのを分かっていて、やらなくちゃいけないというのが出ています。ベテランはこの時期のんびりしているのに今年はちょっと違うな、と見えます。

矢野 嘉男も昨年ケガしましたが、張り切って来てくれています。

梨田 近本の打順はどういう感じですか。

矢野 理想は2番で使いたいのですが。昨年は1番が一番力を発揮できる打順というのがあって1番にしたのですが、2番に足の速い選手がいてくれて、というのが僕の中ではいいなと思っていまして。

梨田 1番打者は。

矢野 (糸井)嘉男もありますし、ショートに入る選手、北條や木浪らもありえると思いますし、糸原もありえると思います。2番を決めたら1番はいろいろと試せるのかなと思いますね。

◆外国人選手数 球団は、任意の数の外国人選手を支配下選手として保有できる。ただし、出場選手登録は4人以内に限られ、野手または投手として同時に登録申請できるのは、それぞれ3人以内となっている。

◆梨田昌孝(なしだ・まさたか)1953年(昭28)8月4日、島根県生まれ。浜田から71年ドラフト2位で近鉄入団。捕手としてベストナイン3度、ダイヤモンドグラブ賞4度。88年に引退し、93年にコーチで近鉄復帰。00年に監督に就任し、01年リーグ優勝。04年、近鉄球団消滅とともにユニホームを脱いだ。08年から日本ハムを率い、09年リーグV。11年に勇退し、16年から18年途中まで楽天の監督を務めた。