楽天の松井裕樹投手(24)が、再び真っさらなマウンドに足を踏み入れた。18年10月4日日本ハム戦以来の先発で2回を完全。ボール先行が目立ったが、最速は145キロ。守護神時代は使わなかったカーブも披露した。2回1死、西浦をカーブと直球で追い込み、最後はフォークで空振り三振。「マウンドに上がって無事帰ってこられた。今日はそれで十分」と控えめに評した。

18年は終盤戦の2試合のみの先発で、本格的な先発はルーキーイヤーの14年以来。忘れかけた感覚を徐々によみがえらせていく作業から始める。「試合までに何をしていいか分からないので、ぼーっとしていました。もうちょっとどっしりと過ごしたい」と先発当日の試合前の時間配分に戸惑った。生きた試合を締めるのが守護神ならば、先発は命を吹き込むところから始まる。「試合の中で9回を迎えるのとは違う」という。

この日は投球間のテンポを意識的に速め、連なる打者との対戦に意識を置いた。「そこそこ速いテンポで投げてみて、バックの人たちがどう感じるか。聞いて確認したい」と今後にイメージを膨らませる。プロ通算321試合139セーブで磨かれた順応力は大きな武器。上々の再スタートを切ってみせた。