18年にブレーブスから米ドラフト1巡目指名されたソフトバンクのカーター・スチュワート投手(20)が20日、堂々の1軍デビューを飾った。宮崎キャンプでA組の紅白戦に初登板。松田宣やバレンティンらが並ぶ強力打線相手から3三振を奪うなど、2回を1安打無失点に抑えた。150キロ台連発で最速は153キロ。片りんを見せた助っ人右腕に首脳陣も「大きく育てたい」と目を細め、今季中の1軍登板に弾みをつけた。

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「全米ドラ1右腕」がベールを脱いだ。「楽しみにしていた」。スチュワートにとって昨年6月の来日後、初となる1軍相手のマウンドだ。まずは先頭のドラフト1位ルーキー佐藤を150キロ直球で空振り三振。1死から柳町に右前打を許したが、崩れない。九鬼への4球目にこの日最速の153キロをたたき出すと、続く5球目で空振り三振。周東は鋭く曲がるカーブで見逃し三振に仕留め、無失点発進を切った。

主力との対戦となった2イニング目も力強かった。先頭の今宮には四球を与えたが、3番の松田宣は威力ある真っ直ぐで右飛。4番のバレンティンはカーブで泳がせ、力のない三ゴロに斬った。真砂もカーブで三直に打ち取り、2回無失点。堂々の1軍デビューを決めた。「始めはすごく興奮していてスピードが出た。松田選手やバレンティン選手はすごくいい打者で、シーズンでもずっと出ている人。そんな打者に対して、いいボールを投げて打ち取ることができて良かった」。幼さの残る顔を上気させ手応えを明かした。

18年の米ドラフトで1巡目指名を受けたが契約合意に至らず、異例の経緯で昨年5月にソフトバンク入りした。1年目の昨季は3軍戦で経験を積み、今年は初めて春季キャンプに参加している。入団時には課題だったクイックモーションなども向上。工藤監督も「すごくボールの力があった。クイックも十分にいい。期待が持てますよ」と成長ぶりに目を細めた。

スチュワート育成は球団としても大きなミッションだ。倉野ファーム投手統括コーチは「大きく育ってほしいし、育てないといけない使命感がある。先発として毎年10勝以上計算できるような投手になってほしい」と期待を込める。目標は今季中の1軍昇格だ。スチュワートは「1日1日をクリアして、先の目標に向かっていきたい」と目をキラキラさせた。【山本大地】

◆スチュワートの紅白戦登板結果

★3回

佐藤=空振り三振

柳町=右安

九鬼=空振り三振

周東=見逃し三振

★4回

今宮=四球

松田=右飛

バレンティン=三ゴロ

真砂=三直

◆カーター・スチュワート 1999年11月2日、米フロリダ州生まれ。エウガリエ高3年の18年に61回2/3を投げ防御率0・91、128奪三振をマークし、全米高校トップ選手の1人に。同年6月のドラフト会議でブレーブスから1巡目(全体8位)指名を受けたが交渉が難航し、契約合意に至らず。同年秋から東フロリダ州立短大に在籍。昨年5月に6年契約でソフトバンク入りした。198センチ、101キロ。右投げ右打ち。