巨人戸郷翔征投手(19)が先発で5回2安打無失点と好投し、開幕ローテーション入りを確実にした。最速151キロの直球を軸に、自主トレでブルージェイズ山口から助言を受けたフォークボールを有効活用し6奪三振。青木、雄平、エスコバーのクリーンアップを沈黙させ、大役をたぐり寄せた。高卒2年目で開幕2カード目までに先発すれば87年の桑田真澄以来。18年ドラフト6位右腕が成り上がる。

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1回2死、フルカウント。戸郷は勝負球にフォークを選んだ。右腕を振り切って、135キロで鋭く落とし、青木に空を切らせた。「イメージ通りに投げられた。結構、いい感じになってきています」。昨季の変化球はスライダー中心だったが、勝負球の1つに縦の変化が加わった。

1月、ブルージェイズに移籍した山口の自主トレに同行した。体重の増加とともに、手に入れたのがフォークの極意だった。「感覚の部分です。イメージを聞いたりして、自分の感覚と照らし合わせながら」と試行錯誤し、直球の軌道からストンと落ちる宝刀に磨き上げた。

長いイニングを意識し、出力のコントロールにも取り組んだ。脱力フォームも取り入れ、テーマに挙げた4、5回を無安打に封じた。多少の制球のばらつきは反省したが、最速151キロの直球の球威は衰えず、5回2安打無失点。69球で終えた。

大きな舞台で力を発揮する強心臓で、その名を全国にアピールした。高校時代は3年秋の高校ジャパンとの試合に宮崎県選抜で好投。プロ1年目は、リーグ優勝を決めたDeNA戦で初先発。「ありがとう慎之助」と銘打ったDeNA戦でプロ初勝利を挙げた。

開幕ローテ入りについて、原監督は「いいですね。非常にいい位置だと思います」。開幕投手の菅野、新外国人のサンチェスが当確。田口、高橋、桜井らが名を連ねる中で、強烈なインパクトを残した。開幕2カード以内に先発した高卒2年目投手は、桑田真澄を最後に出ていない。球団史に名を刻む。【久保賢吾】

▽巨人宮本投手チーフコーチ(戸郷について)「山口俊がいるんじゃないか、という気になった。(菅野、サンチェスに次ぐ)3本柱というか、2本目に入ってくれる感じ。今日のピッチングを見ると、タイトルを狙える。2桁もいけるという、そんな投球だった」