今季から楽天に移籍した楽天涌井秀章投手が、古巣ロッテに好投した。昨年まで本拠地としていたZOZOマリンで先発。4回を2安打6奪三振で1失点にまとめた。

無観客のためスタンドの声援も鳴り物もない。「特別な感情というのはないです。そういう感情はどこかに置いてきた。ファンがいるなら別ですけど」。古巣の感傷に浸るそぶりは見せず、ポーカーフェースを貫いた。

72球を要したのは、捕手太田との相性や配球を試すことに重点を置いたから。うち10球程度は新球種に費やした。右打者に高速のまま食い込んで落ちる軌道で「打者の反応を見られたのはよかった」。新球で昨季までバッテリーを組んだ“前妻”田村を空振り三振に切り、福田秀を三飛に打ち取った。

先発ローテーションの有力候補だが「まだローテに入ったわけじゃない。球速も上がってくるだろうし、しっかり取りに行きたい」。通算133勝の実績に頼らず、今の力で枠をつかみ取る。【鎌田良美】

▽楽天三木監督(涌井について)「テーマを持って丁寧に投げていた。四球もヒットも、意図を持って攻めた結果。さすが」

▽ロッテ田村(2回、涌井の新球に空振り三振)「対戦を楽しみにしてたけど、びっくりしたよ。全然頭にない球が来たから、振るしかなかった」