甲子園のスターが甲子園に帰ってくる。矢野燿大監督(51)が5日、阪神ドラフト2位の井上広大外野手(18=履正社)をオープン戦に出場させることを決めた。7日日本ハム戦、8日巨人戦(ともに甲子園)で1軍に呼び寄せる方針。井上が出場した大商大とのプロアマ交流戦(鳴尾浜)を視察した指揮官は「やっぱり楽しみがあるっていうのはいいよね。俺らも見たい」と明かした。

「御前試合」の力強い打球が即断即決につながった。この日、矢野監督は甲子園の全体練習から鳴尾浜に移動。試合を食い入るように見つめた。井上が代打出場したのは無死二塁の場面。カウント2-2から直球をはじき返して右翼越えの適時二塁打を放った。「カーブで攻められていたのでカーブが来るかなと思ったところをうまく反応できた。(バットが)最短距離で打てました」。持ってる男はそう言ってはにかんだ。

矢野監督は「使うよ。守備も就けると思う」と起用を明言した。甲子園での試合出場となれば3本塁打を放ち、全国制覇に大きく貢献した高校3年の夏以来。入団後は右足首の捻挫で出遅れたが、高知・安芸キャンプではプロ初打席でド派手は本塁打をマーク。非凡な打撃で周囲を驚かせた。7カ月ぶりとなる聖地帰還に井上は「すごく楽しみ。帰ってきたなという気持ちになると思うし、思い切ってプレーしたい」と目を輝かせた。

英才教育の一環でもある。この日の試合でヒットを放った同4位の遠藤成内野手(18=東海大相模)、同5位の藤田健斗捕手(18=中京学院大中京)も週末の本拠地オープン戦に出場する予定だ。矢野監督は「1軍の雰囲気とか、投手とか、いろんなことで新たな課題とか目指すところがハッキリできる経験になる」と狙いを明かす。高い目標を抱くための特別な日。しかも開幕が迫り、日本ハムも巨人も主力との対戦が見込まれる。中でも伝統の一戦を体験できるのは貴重だ。矢野監督も自軍の開幕を目前に控えて実行に移す腕試し。甲子園を沸かせたがスターが、甲子園で1軍デビューを果たす。【桝井聡】

 

阪神井上の歩み

◆入団 履正社では3年夏の甲子園決勝で星稜・奥川からバックスクリーンに運ぶなど、大会3本塁打で優勝に貢献。19年ドラフト2位で阪神に入団。

◆アクシデント ドラフト指名後の11月中旬の下校途中に、大阪府内の駅の階段で後ろからぶつかられ、体勢を崩して右足首を捻挫。新人合同自主トレは別メニュースタート。

◆連発 1月下旬に鳴尾浜で行われたロングティー打撃で5連発を披露。さらに、フェンス直撃の打球を挟んで3連発。幕尻優勝した阪神ファンの徳勝龍は「あの打球はやばい」とホレこんでいる。

◆フリー打撃 春季キャンプ中の2月8日、プロ初フリー打撃では柵越え4本。翌9日は「緊張がなくなって」と12本の柵越えを放った。

◆衝撃アーチ 2月15日の社会人・四国銀行との練習試合(安芸)でプロ初実戦に挑み、初打席初球を本塁打。同20日のケース打撃では、福永の外角低めのカーブに泳ぎながらも左翼へ本塁打。同22日の西武2軍との練習試合(高知東部)では伊藤から、バットを折りながら左翼席に運んだ。ここまで実戦計6試合に出場し、14打数4安打5打点2本塁打。

◆履正社・井上 3年春夏に出場して4番を張った。センバツは星稜・奥川に1回戦で完封負け。雪辱を期して臨んだ夏は順当に勝ち進み、決勝で星稜と再戦。奥川から逆転3ランを放ち、履正社を初の優勝に導いた。高校通算本塁打は49本に達した。

 

▼阪神の高卒新人野手による直近のオープン戦出場は、野原将志(長崎日大)が07年2月25日オリックス戦に「9番・三塁」で先発。3月以降となると、萩原誠(大阪桐蔭)が92年3月4日近鉄戦に「9番・指名打者」でスタメン出場したのが最後。