いよいよ勝負が始まる。シーズン開幕の前日練習。敵地東京ドームで約3時間の調整を見守った阪神矢野燿大監督も、高まる思いを抑えきれない様子だった。

「もちろん緊張感もありますし、ソワソワもしています。でも、始まるなというワクワク感が一番強いですね」

巨人を倒す、菅野を攻略するイメージは出来上がっている。

「最後は球児が締めて、西(勇)が笑いながら投げて、いいところでチカが走って、ボーアが打って、孝介がタイムリー打って、パフォーマンスいっぱいして。皆さんに楽しい野球を」

思いを共有している頼もしいナインがいる。あらためて今季に向けた気持ちを、チーム全員で確認し合った。この日の宿舎出発前、約20分のミーティングが開催されたという。

「明日試合前に伝えるより、1日前に自分の思いを伝えておきたいというのはあるし、自分の思いの丈を選手に伝えてきた。こういう状況で俺らは野球をできるわけやから。感謝の思いと。みんな苦しい思いをされてる中で、苦しいことに挑戦するとか困難に笑顔で挑戦していくとか、俺らから姿を見せていく発信していく。そういう年なんじゃないかな、と」

コロナ禍の日本に明るい話題を届けられるように、目の前の1試合に持っている力を注ぎ込む。全力疾走する。投打とも全員でつなぎ、勝利に向かっていく。その矢野スタイルの野球を貫くだけだ。

「(開幕戦を120分の1というふうに考えることはなく)1分の1と思って戦おうと。明日しかない。明日の試合を全力でいくのが120になったら120になるだけ」

日本一を公言してきた。

「変えるものは何もない。日本一になると決めてグラウンドに出てきていますし、目標は何も変わらない。日程の調整で日付がちょっとずれたぐらい。あとは変更はないです」

19日、第1歩を刻む。【松井周治】

 

▼阪神が東京ドームで巨人との開幕戦を行うのは18年以来2年ぶり。過去7試合は3勝4敗だが、勝つ時は劇的な試合が多い。初勝利は02年で、桧山とアリアスの本塁打を井川が完投で守り、星野新監督に虎1勝を贈った。04年は1点を追う8回に矢野ら打者11人で6点を挙げて逆転し、井川からの継投で岡田新監督が初勝利。前回18年は福留が菅野から2回に先制弾を放つなど、菅野に自己ワーストの12安打を浴びせて快勝発進した。今季も続くか。