あっぱれな2発だ! 広島鈴木誠也外野手(25)が、今季1号&12球団最速となる満塁本塁打の2発5打点の活躍でチームを開幕2連勝に導いた。

3点ビハインドの6回に右中間への1号ソロで反撃ののろしをあげると、8回2死満塁から左越えのグランドスラムで試合を決めた。広島の4番には頼れる主砲がどっしりと構えている。

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逆風をはね返した。逆転に成功し2点リードの8回2死満塁。追い込まれてからの3球目だった。平田の真ん中低め136キロスライダーを強振。強くはじかれた打球は向かい風をものともせず、左翼スタンド最上段に着弾するダメ押しのグランドスラム。4番が試合を決めた。

「僕の結果どうこうより、チーム一丸なので。長野さんも(今季)初打席だったし、大事な場面でみんなが結果を出している。だから良い試合ができている」

反撃の口火も4番だった。3点を追う6回、先頭でピープルズの外角148キロ直球をバットの先端で捉えた。打球は風に乗り、そのまま右中間スタンドに飛び込んだ。「バットの先でしたが、風に助けられました」。本人も驚きの表情を隠せなかった今季1号で、逆襲の機運を高めた。

「同じことをやっていてもそれ(30発)くらいしか打てない。ちょっと変えていかないと、そのまま終わってしまう感じはある」

首位打者に輝いた昨季は28本塁打に終わった。自己最多は18年の30本。さらに上を目指すべく、強く意識したのが「センター返し」だった。開幕が先延ばしとなった中でも、練習ではひたすら中堅、左中間、右中間方向へ強い打球を打ち続けた。「左翼に本塁打を打つのも飽きた…」と冗談を交えながらも「もともとプル(引っ張る)なので。次はいろんな方向に打てたらもうちょっと幅が広がるなと思った」。延期続きでもやまない向上心で取り組み続けた結果が、圧倒的な打撃につながっている。

佐々岡監督は5打点の主砲に「(6回に)4番が打ってそこからでしたね。誠也が打って、雰囲気も変わった。それが4番の仕事だと思う」と全幅の信頼を寄せる。鈴木誠は「まだ2試合。シーズンは長いので、難しい試合もある。こういう試合を多く出せたらいい」と冷静。広島の4番、日本の4番は、今年もレベルアップした姿を見せつけるつもりだ。【古財稜明】