日本ハムの「レベチな大将」が一振りで開幕カード勝ち越しを呼び込んだ。中田翔内野手(31)が西武3回戦(メットライフドーム)の2回、西武与座から右中間へ決勝の先制1号ソロを放った。逆方向へのシーズン1号は、日本一となった16年以来4年ぶりで、チーム1号は2年連続。4番の吉兆弾が口火となり、今季初の2桁得点&安打の大勝で貯金1とし、23日からの楽天6連戦(楽天生命パーク)へ向かう。

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3児のパパである中田が、父の日に威厳を示した。「テレビ越しに(子どもたちが)応援してくれていたと思う。ホッとしています」。2回に右中間へ描いた大きな放物線は、無人の外野スタンドで大きくはねた。開幕3戦目での今季1号はチーム初アーチ、先制点、そして決勝点。「右中間方向への本塁打は欲しかった。すごくよかった」。内容と結果が伴った打撃に納得した。

2日からの練習試合では3本塁打も、打撃内容に不満があった。「フォーム、タイミングの取り方、間合いの駆け引き。あまりできていなかったというか、ちょっと打ち急いでいる自分がいた。少々ボール球でも強引に打ちにいってしまっていた。開幕するまで不安だった」。それでも、今季のレベチ中田はひと味違う。開幕3連戦ではチームでただ1人、3試合連続安打。20日に続く勝利打点もたたき出した。開幕に合わせる勝負強さは、さすがだ。

アンダースロー対策は、さらなる状態向上の予感も漂わせた。「引きつけて打とう」。不慣れなサブマリンに対して、長くボールを見ることを意識。「ボールを引きつけられているかを1球1球、確認しながら」と最初の3球は冷静に見逃し、4球目でのファーストスイングで仕留めた。どんな投手にも応用できる、逆方向への意識を持つ中での“1発回答”に「変に勘違いすることなく今の状態を1日でも長く伸ばせるように」と手応えを残した。

吉兆の本塁打でもある。逆方向へのシーズン1号は4年ぶり。チームが日本一に輝いた16年以来だ。打線も4番のアーチに呼応して、15安打12得点で大勝。栗山監督も「今日は全て、翔。(自分には)何にも聞かなくていいよ」とたたえた。当時から4番を務め続ける中田は「西武は本当にすごいチームですから、そのすごいチームに勝ち越せたのは、いいスタートを切れたと思う」。覇権奪回へ、上々の幕開けだ。【木下大輔】