アジャの恩返し弾だ!ロッテ井上晴哉内野手(30)が、バットで楽天からFA加入した美馬の新天地1勝目を猛烈アシストした。会心の1号グランドスラムで勝利に導き、「大援護しましたね」と笑った。

叫びながら投げるソフトバンクの新人津森の速球をかち上げた。2回無死満塁。フルカウントからの8球目、148キロ直球は衝撃音を残しバックスクリーンに吸い込まれた。右こぶしを突き上げて余韻を味わい、ベンチ前では力士パフォーマンスを披露。「それが大半を占めていたと思う」と笑って見守っていた美馬のために燃えたと明かした。

井上が中大硬式野球部に入部した時、美馬は4年生だった。ソフトなイメージの先輩は、当時も紳士だったそうで「神様の中の神様です」と断言する。「優しい。後輩をフォローしてくれる、味方になってくれる。ずっと尊敬していました。中央の神様の先輩の姿を見ながら野球ができるのはうれしかった」と感謝の言葉は止まらない。

遅れること3年、同じプロの世界に入った。福岡は、7年前に「新人開幕4番」の栄誉を味わった一方で、結果を出せずに苦しんだ地。そんな場所で、成長した姿を見せた。今回の開幕3連戦で、自身の打席直前での投手交代は5度。「それだけ警戒されているんだな」と受け止め、ラッキーと感じて振り抜いた。

アジャと呼ばれ、愛され、7年目のシーズンに突入。「40本を目指していかないと30本いかないと思う」という言葉が頼もしい。神様のそばで、無心に振り抜いていく。【金子真仁】