楽天石橋良太投手(29)が「三度目の正直」で今季初勝利を挙げた。初回に先頭荻野に初球を二塁打されると、1死三塁から清田に適時打を浴び、わずか7球で先制を許した。しかし、ここからがこれまでと違った。後続を打ち取ると、2回以降は三振1つながら、威力のある直球を生かし、6回までノーヒットと追加点を許さなかった。「この前までは考えすぎたところがあったので、シンプルに投げることを心がけた」と一喜一憂せず、目の前の打者に集中した。

「次はないと思っていました」。まさに背水の陣で上ったマウンドだった。オリックスとの開幕シリーズでは3戦目(6月21日)を任されるも4回4失点、同28日の日本ハム戦では4回5失点と先発の役目を果たせず、ともにチームの連勝を止めてしまった。それでも伊藤投手チーフコーチは「石橋の活躍なくしてイーグルスの浮上はない」と信じ続けた。相手の先発も昨季までの同僚美馬だったが、意識したかの質問にも「ないです」と一言。太田のミットだけを見て腕を振った。

6回75球での降板には「まだいけるなというのはあった」(石橋)と余力を残していたが、伊藤コーチは「次の登板に期待という意味で、いいイメージで次に備えてもらおうということ」とさらなる期待が込められていた。勝ち越し3ランの浅村と上ったお立ち台で今後について聞かれると、「腕を振ってしっかり投げることを忘れず投げていきたい」とおなじみのポーカーフェースで締めくくった。【野上伸悟】