主砲が打てば負けない-。イヌワシの「3」が輝いた。楽天浅村栄斗内野手(29)が同点の5回1死一、三塁で勝ち越し3ランを放ち、首位を走るチームを今季初の3連勝に導いた。2戦連続の決勝弾で両リーグトップの7号に到達。愛着のある背番号3のユニホームを身にまとう4番は、15試合を終え打率3割5分1厘、22打点と3冠部門でハイスコアを残し序盤から絶好調。2週にわたる本拠地12試合を9勝3敗とし、2位ロッテに2差とした。

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浅村が右膝が地面すれすれのスイングで、ロッテ先発美馬のひざを折った。同点の5回1死一、三塁。3球目の真ん中低めフォークを捉えた。左翼席へ今季4本目の3ラン。「フォーク? 狙ってはないです。体が自然に反応して、自分自身もびっくりした。もう1回やれと言われてもなかなか難しい。それくらい、反応で打てました」。本塁で待つ一走、三走、次打者の3人と拳を合わせた。

今季4度目の3打席目での1発。根拠はある。「(先発投手の球が)今日はどういう変化しているのか、真っすぐどれくらい来ているのか、だいたい目安が出てくる。その辺で一番アジャストしやすい打席になってくる」。第1打席でフォーク、シュート、スライダー、第2打席で直球、チェンジアップを見た。「1、2打席目とチャンスでしょうもないバッティングをしていた。三度目の正直じゃないですけど、絶対にランナーをかえすという気持ちで打席に入った」。インプットした残像、肌感覚を体、バットへ伝えた。

3冠部門で好数字を残すスラッガーは、3に縁がある。3人兄弟の“3男”。08年ドラフト3位で西武へ背番号32で入団。大下、土井、清原、中島(現巨人)らがつけた背番号3を13年オフに直訴し、17年から背負う。「愛着はあります。こだわってきた、自分がつけたかった背番号なので」。背番号3が1発をたたき込めば7戦無敗。「チャンスで期待に応えるのが4番の仕事。投手が頑張ってくれているのもある。自分の結果が勝ちに直結していることはうれしい」と喜んだ。

2週続いた本拠地仙台12試合を大きく勝ち越し、来週7日から敵地福岡でソフトバンクと6度、対する。「大事な試合が来週も続く。ソフトバンクを倒さないとパ・リーグ優勝はないと思う」。ヒーローインタビュー後に右手指で3と作った背番号3は余韻に浸り過ぎず、前を見据えた。【桑原幹久】

▽楽天三木監督(決勝3ランを放った浅村に)「試合のポイントになる場面。うちの4番がしっかり仕事をしてくれた」